我々は、腎細胞癌の癌間質組織におけるHO-1の病理学的な役割の解析を進めていたが最終的に期間内に完遂することはできなかった。しかしながら研究の過程で、ヒトにおける表在性膀胱癌に関して、HO-1の発現に病理学的な特徴があることを見出した。HO-1は表在性膀胱癌において、high gradeやT1病変に多く発現し、細胞増殖、リンパ管増生、COX-2の発現に関連していた。HO-1の発現が強い患者では疾患特異的生存率および無転移生存率は悪かった。多変量解析においてもHO-1の発現は疾患特異的生存率に関連するものであった。HO-1の発現が表在性膀胱癌における治療のターゲットになる可能性が示唆された。
|