研究実績の概要 |
次世代シークエンサーによるmiRNA発現解析に基づき、いくつかのマイクロRNAについて、その機能解析と標的遺伝子群の探索を行った。miR-144-5pはCCNE1/2の発現を抑制することにより、膀胱癌細胞における細胞分裂周期を調節していることが明らかになった。従来、他の癌種でも癌抑制型マイクロRNAとして知られていたmiR-145-5pのパッセンジャー鎖であるmiR-145-3pはこれまでその機能が不明であったが、ともに共通の標的遺伝子であるUHRF1の発現を直接抑制することが明らかになった。UHRF1はメチル化やヒストンヒト染色体9q22.32領域に存在するクラスターmiRNA (miR-23b/24/27b) について、膀胱癌における役割について検討した。膀胱癌臨床検体と正常腎組織においてreal time PCRを行い、miR-23b/24/27bの発現を測定した。miR-23b/24/27bとmiR-controlの発現導入膀胱癌細胞株(BOY・T24)を作成して、XTT・wound healing・cell invasion assayを行った。miR-23b/24/27bの発現は癌組織で有意に低下しており、両者の発現は正の相関を認めた。miR-23b/24/27b発現導入膀胱癌細胞株で遊走能、浸潤能の抑制効果を認めた。また、in-silico解析で導かれたc-MET, EGFR, FOXM1の発現はmiR-23b/27b発現導入により著名に抑制された。miR-23b/24/27bクラスターは、膀胱癌細胞においてc-MET, EGFRを標的とし癌抑制型miRNAとして機能している事が示唆された。
|