研究課題/領域番号 |
26462417
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
西山 直隆 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70619030)
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研究分担者 |
北村 寛 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00404674)
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20295356)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 尿路上皮癌 / ADAMTS1 / 化学療法抵抗性 |
研究実績の概要 |
申請者は膀胱がんCell lineのT24、UMUC3についてシスプラチン同様にゲムシタビン耐性株(T24-RG, UMUC3-RG)を樹立に成功した。当研究室にて独自に樹立したシスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGを用いて、3D-Gene Human Oligo chip 25K(東レ株式会社)にて得られた結果の妥当性についてRT-PCR, Realtime-PCRを用いて検証した。その結果3D-Gene Human Oligo chip 25Kにて得られたADAMTS1遺伝子の発現の亢進を、RT-PCR, Realtime-PCRで確認することができた。また新たに樹立したゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGにおいても、シスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCと同様にADAMTS1遺伝子の発現の亢進を認めた。他の膀胱癌細胞株にてもRealtime-PCRを用いてADAMTS1遺伝子の発現を確認し、膀胱癌細胞株RT4、J82にてADAMTS1遺伝子の発現の亢進を認めた。T24R-RC、UMUC3-RCおよびT24R-RG、UMUC3-RGに対してSiRNAを用いたADAMTS1遺伝子のknock downをおこない、細胞増殖能を確認した。その結果、シスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGにおいてADAMTS1遺伝子をknock downしない郡と比較して細胞増殖能に有意な低下を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
シスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGに対するADAMTS1遺伝子の発現の確認をしたのみならず、ADAMTS1遺伝子の発現を抑えることで細胞増殖能自体を抑制することを確認できた。当初の計画ではシスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGに対してADAMTS1遺伝子の発現を抑え、さらに毒性試験を行うことで薬剤感受性の再獲得を目指していた。現在の研究結果において薬剤抵抗性尿路上皮癌に対してADAMTS1遺伝子をターゲットとした分子標的薬の可能性がある。この結果については今までの報告はなく、予後不良な転移を有する尿路上皮癌の新たな治療になり得る可能性が見出された。
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今後の研究の推進方策 |
シスプラチンおよびゲムシタビンに長期に暴露されることにより、膀胱癌細胞株がADAMTS1を含めた多数の遺伝子の発現亢進・減弱に関与する因子としてエピジェネティックな変化が考えられる。確立したシスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGを用いてDNA Methylatipn Array を行い、薬剤耐性獲得前後でのDNAメチル化の変化を、ADAMTS1を含めて検討する予定である。その後シスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RG に対して5-azacytidineによるゲノム網羅的な脱メチル化を行い、細胞増殖能およびADAMTS1遺伝子発現に関して検討する。さらに5-azacytidineによる脱メチル化を行ったシスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGに対するシスプラチン、ゲムシタビン毒性試験を施行し、脱メチル化によりシスプラチンおよびゲムシタビンに対する感受性が再獲得されるかを検討する。脱メチル化によりシスプラチンおよびゲムシタビンに対する感受性が再獲得された場合に、5-azacytidineによるゲノム網羅的な脱メチル化剤ではなく、ADAMTS1を中心とした遺伝子をターゲットとした脱メチル化剤を開発し、創薬製品化を目指す。
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