研究実績の概要 |
申請者は独自に樹立した膀胱癌シスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよび膀胱癌ゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGを用いて、3D-Gene Human Oligo chip 25K(東レ株式会社)を施行しADAMTS1遺伝子発現亢進を発見した。ADAMTS1遺伝子発現の妥当性についてRT-PCR, Realtime-PCRを用いて検証した。その結果、RT-PCR, Realtime-PCR非薬剤抵抗性膀胱癌細胞株と比較して薬剤抵抗性膀胱癌細胞株においてADAMTS1遺伝子の発現亢進を確認することができた。他の膀胱癌細胞株にてもRealtime-PCRを用いてADAMTS1遺伝子の発現を確認し、膀胱癌細胞株RT4、J82にてADAMTS1遺伝子の発現の亢進を認めた。T24R-RC、UMUC3-RCおよびT24R-RG、UMUC3-RGに対してSiRNAを用いたADAMTS1遺伝子のknock downをおこない、細胞増殖能を確認した。その結果、シスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGにおいてADAMTS1遺伝子をknock downしない群と比較して細胞増殖能に有意な低下を確認することができた。 当初の研究計画ではシスプラチン耐性株T24R-RC、UMUC3-RCおよびゲムシタビン耐性株T24R-RG、UMUC3-RGに対してADAMTS1遺伝子の発現を抑え、さらに毒性試験を行うことで薬剤感受性の再獲得を目指していた。現在の研究結果において薬剤抵抗性尿路上皮癌に対してADAMTS1遺伝子をターゲットとした分子標的薬の可能性がある。この結果については今までの報告はなく、予後不良な転移を有する尿路上皮癌の新たな治療標的になり得る可能性が見出された。さらにADMTS1遺伝子のDNAメチル化について検討を進めている。
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