研究課題/領域番号 |
26462419
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
泉 浩司 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (00721531)
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研究分担者 |
上村 博司 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (50244439)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / アンドロゲン / 抗アンドロゲン療法 / アンドロゲンレセプター |
研究実績の概要 |
前立腺癌に対する抗アンドロゲン療法(ADT)が膀胱癌の再発を抑制することを世界で初めて報告(第102回日本泌尿器科学会総会、EMUC2014)し、論文発表(Oncotarget. 5, 12665-74)を行った。その内容は、前立腺癌20,328例のうち239例の膀胱癌合併症例を抽出し、条件を満たす162例についてnon-ADT群76例とADT群86例の5年無再発生存率はそれぞれ40%と76%であり、ADT群で有意に延長していた(p<0.001,HR=0.29)。続いて、ARシグナルの関与をより明確にするため、ADTの再発抑制効果と膀胱癌におけるAR、ERα、ERβとの関連について検討した。ADT施行群72例中、28例(38.9%)でAR陰性で44例(61.1%)でAR陽性であり、5年無再発生存率はそれぞれ57%、73%とAR陽性例で有意に延長していた(p=0.031,HR=0.27)。一方、ADT施行群における再発率はERα、ERβの発現との関連は認めなかった。このことは、ADTがARシグナルを介して膀胱癌の再発を抑制していることを示唆している。以上の結果は2015年の欧州泌尿器科学会、米国泌尿器科学会、第103回日本泌尿器科学会総会、EMUC2015で発表し、論文発表(Oncotarget. In press)を行った。現在、ADT群とnon-ADT群における膀胱癌のAR関連タンパクの発現を免疫染色で確認中であり、同時に多施設共同臨床試験を行うためのプロトコールを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AR発現とADTによる再発抑制との関連を検討、報告、論文発表した。 AR関連タンパクとの関連は現在順調に進行しているが、臨床的なターゲットとなり得る標的分子を同定できていない。
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今後の研究の推進方策 |
臨床的なターゲットとなり得るAR標的分子を同定し、動物実験を用いた検証実験を予定し、膀胱癌におけるARシグナルのメカニズム解明を目指す。 実臨床において膀胱癌に対する抗アンドロゲン療法の有用性を前向き試験で検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
膀胱におけるAR標的分子の絞り込みの遅れから、動物実験等の検証実験が行われなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
組織検体を用いた免疫染色により膀胱におけるAR標的分子の絞り込みができた時点でさらに動物実験を含めたさらに詳細なメカニズムの解明を行う。
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