研究課題/領域番号 |
26462421
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
水野 健太郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70448710)
|
研究分担者 |
神沢 英幸 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00551277)
西尾 英紀 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10621063)
郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047)
林 祐太郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40238134)
黒川 覚史 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50468253)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 精子幹細胞 / 細胞分化 / 精巣がん |
研究実績の概要 |
【研究の目的】精巣がんは、好発年齢が20~30 歳代と若年層であり社会的に影響の大きな疾患である。精子形成細胞を由来とする胚細胞腫瘍が多くを占め、様々な抗がん剤に抵抗性をもつ難治性症例も多い。精巣がんの発生機序は不明であり、さまざまな組織型があるため適切な培養細胞株がなく、基礎研究の進展をさまたげている。私たちはこれまで、停留精巣における造精機能障害の病態解明のため研究を進めてきたが、その一因として精子幹細胞の分化異常を明らかにした。一方、複数のがんにおいて「がん幹細胞」の存在が注目されており、正常の幹細胞との違いが明らかになりつつある。そこで、これまでの研究成果をもとに、精巣のがん化に関わる幹細胞の形質変化を解明することを、本研究の目的とした。 【本年度の研究実績の概要】前年度に引き続き、精巣がんの原因疾患として重要である、停留精巣のモデル動物を用いて研究を進めた。生後9日齢のモデルラット精巣の詳細な解析から、精子幹細胞の分化に、ヒストン脱メチル化酵素であるKdm5aが関わることを明らかとした。さらに、マウスB型精原細胞由来である、GC-1細胞株にKdm5a強制発現ベクターを遺伝子導入し、ヒストンH3K4タンパクのメチル化の状態をWestern blotting法で確認したところ、H3K4me3タンパク質の発現低下を認めた。さらに、細胞分化に関わるOct3/4や、Thy1遺伝子の有意な発現亢進を認めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、細胞株への遺伝子導入・強制発現系の樹立、だけではなく、これらの樹立した新規培養細胞株を実験動物の精巣組織内へ移植する実験を立案していた。遺伝子導入効率の条件検討や、遺伝子導入した細胞の形質の解析に時間を要したためと考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
樹立した培養細胞株GC-1へのKdm5a遺伝子導入だけではなく、実験動物の精巣組織から分散した初代培養細胞へも遺伝子導入を行いたい。また、遺伝子導入した培養細胞において、精巣がん化にかかわる遺伝子発現変化が見られるかどうかや、実験動物の精巣への移植実験により、精巣がんの発生が認められるかどうかを確認していきたい。
|