蛋白尿は、進行性腎癌の分子標的治療薬で用いられるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の有害事象の一つである。尿中バイオマーカーの測定により蛋白尿の出現を早期に予測する事が可能か検討した。新鮮尿半定量を用いて腎尿細管障害の指標であるβ2-microglobulin、NAG、L-FABPと糸球体上皮細胞障害の指標である尿中ネフリンを測定したが、蛋白尿の増悪を有意に事前予測できるマーカーは認められなかった。しかし、今まで蛋白尿の出現は、糸球体蛋白濾過障壁でのVEGF作用阻害が原因と考えられていたが、糸球体障害マーカーだけではなく、尿細管障害マーカーも顕著な増加がみられ、尿細管障害の関与を同定できた。
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