研究課題/領域番号 |
26462428
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10286552)
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研究分担者 |
宮嶋 哲 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (90245572)
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30445407)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 尿路上皮癌 / 転写因子 / シグナル伝達 / 喫煙 |
研究実績の概要 |
1) NVP-BEZ235によるT24細胞、及びT24PR細胞への効果: PI3K-Akt-mTOR pathwayのmTOR complex 1およびmTOR complex 2を同時に阻害するNVP-BEZ235を用いて膀胱癌細胞株への殺細胞効果を検証した。まずCDDP耐性株として樹立したT24PR細胞においては親株T24細胞に比べてAkt、mTOR、Rictor (mTORC2)の蛋白発現量の上昇、mTORC1下流のシグナルの活性化が確認された。T24およびT24PR細胞においてNVP-BEZ235は濃度依存性に殺細胞効果およびPTEN、pAktの蛋白発現の抑制を示した。 2) ニコチンによるT24の細胞増殖能の変化: 5-10μMのニコチン曝露下で有意なT24細胞増殖が認められた。ニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)のα7サブユニットのアンタゴニストmethyllycaconitine (MLA) 100μMを投与したところ、10μMのニコチン曝露細胞において有意な細胞増殖抑制が確認された。 3)ニコチン曝露によるPI3K/Akt/mTOR経路とT24細胞増殖への影響: 10μMのニコチン曝露にて有意なpAkt/pS6の上昇を認めた。NVP-BEZ235 (0-1000nM)をニコチン非曝露下、および10μMのニコチン曝露下で投与した。ともに濃度依存性のT24細胞増殖抑制効果が確認された。 4)NVP-BEZ235投与時におけるPI3K/Akt/mTOR経路への影響: ニコチン非曝露細胞、ニコチン曝露細胞ともにNVP-BEZ235の投与によりpAkt/pS6の発現は有意に抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は喫煙によるPI3K-Akt-mTOR pathway亢進機序解明とmTOR阻害剤の治療効果検証を研究計画としており、これに対してニコチンによるPI3K-Akt-mTOR pathwayを介した細胞増殖、またNVP-BEZ235のmTOR complex 1および2の阻害による増殖抑制効果を検討。ニコチンよる膀胱癌細胞における増殖シグナルの詳細を解明した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はニコチン曝露下におけるNVP-BEZ235のin vivoの抗腫瘍効果、ニコチン曝露下におけるCDDPの反応およびNVP-BEZ235併用療法の効果を検討しin vivo研究を進める予定である。
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