研究課題/領域番号 |
26462432
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
住友 誠 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50255535)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / 乳酸脱水素酵素 / docetaxel / アポトーシス |
研究実績の概要 |
前立腺癌細胞株LNCaPおよびPC-3を用い、乳酸脱水素酵素(LDH)特異的阻害薬をsodium oxamate (SO)とタキサンの併用効果を検討した。SO 50 mMにより両細胞株も増殖抑制が認められ、細胞周期解析にてG2M arrestが引き起こされ、アポトーシスが誘導された。SO 50 mMとdocetaxel 1 nMの併用によりアポトーシス増強効果が示され、進行前立腺癌において産生亢進されるLDHがtaxan耐性機序の一部に関与している可能性とSO併用効果の重要性を示唆する知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画1) 去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)細胞株におけるcholesterol供給源の同定(現状)CRPC細胞株における通常環境下および嫌気性環境下cholesterol供給源の同定がまったく進んでいない状況である。その原因、背景として、① LNCaP(ホルモン感受性株)からCRPC細胞株およびdocetaxel抵抗性前立腺癌細胞株を樹立するのに予想以上の時間と労力を要していること②以上と同様の理由で、嫌気性環境での実験を行う準備が整っていないことがあげられる。 計画2)CRPC細胞株におけるcholesterol制御と抗癌薬治療感受性の検討(現状)当初計画をやや現実的な計画に改変し、前立腺癌細胞株LNCaPおよびPC-3を用い、乳酸脱水素酵素(LDH)特異的阻害薬をsodium oxamate (SO)とタキサンの併用効果を検討し、進行前立腺癌において産生亢進されるLDHがtaxan耐性機序の一部に関与している可能性とSO併用効果の重要性を示唆する知見が得られた。 計画3)C4-2皮下腫瘍モデルにおけるcholesterol制御とde novo androgen合成との検討(現状)以上の理由から、皮下腫瘍モデルの作製が行えるような進捗状況ではない。
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今後の研究の推進方策 |
進行前立腺癌において産生亢進されるLDHがtaxanl耐性機序の一部に関与している可能性とSO併用効果の重要性を示唆する知見が得られた。このような知見から、当初計画をやや現実的な計画に改変し、コレステロール制御因子を同定する以前に、LDH活性を抑制する方法論についての研究を深め、かつCRPCの細胞内代謝経路の特徴を解明することを次段階の目的にしたい。その一環として、まずは好気性環境下および嫌気性環境下におけるLDHの機能を明らかにすることを当面の目標に設定し、LNCaP(ホルモン感受性株)からCRPC細胞株およびdocetaxel抵抗性前立腺癌細胞株を樹立し、26年度と同様の実験を試みる。さらに、LDHの機能を調節するシグナリング分子を同定するために、リン酸化抗体を用いたタンパク発現解析を行い、これらの背景因子を明らかにする。さらに、CRPC皮下腫瘍モデルの作製を行い、同様の実験をin vivoの環境で行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物モデル実験を開始する状況まで研究が進行していない状況のため、当初予算と比較して消耗品出費が少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
CRPCの細胞内代謝経路の特徴を解明する一環として、まずは好気性環境下および嫌気性環境下におけるLDHの機能を明らかにすることを当面の目標に設定し、LNCaP(ホルモン感受性株)からCRPC細胞株およびdocetaxel抵抗性前立腺癌細胞株を樹立し、26年度と同様の実験を試みる。さらに、LDHの機能を調節するシグナリング分子を同定するために、リン酸化抗体を用いたタンパク発現解析を行い、これらの背景因子を明らかにする。さらに、CRPC皮下腫瘍モデルの作製を行い、同様の治療をin vivoの環境で行う。
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