研究課題
(平成29年度の研究計画)去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)におけるタキサン耐性機序の背景因子として、嫌気性解糖シグナルにおいて重要なLDHの機能が関与していることを、in vitroお よびin vivoの両系で証明できたと考えている。今後の方針として、① LDHがタキサン耐性にどのような機序で関与しているのかを分子生物学的手法を用いて検討する。特に、細胞周期関連シグナル分子との関連に着目した研究を行う。② LD H阻害薬投与後のアミノ酸代謝への影響を検討する。アミノ算定量を行う環境は整っており、解糖系とアミノ酸代謝の両者に着目した研究計画を立案する。(研究実績)① 前立腺癌細胞株LNCaPおよびその去勢抵抗性前立腺癌株LN-CSSを用い、これらの細胞株にタキサンを投与したところ、LN-CSSでは細胞周期シグナル分子のcdc2やAMPKの活性化認められた。LDH阻害薬のoxamateはこれらの活性化を抑制する機能を有することが示唆された。② 一方で、oxamate投与により細胞内のアミノ酸トランスポーターの1つであるLAT1タンパクの発現が増加する現象が認められた。③ 以上より、去勢抵抗性前立腺癌におけるタキサン抵抗性にはLDHの発現および機能亢進が重要な役割を担っているが、その一方で、LDH阻害によって嫌気性解糖系を抑制することでアミノ酸代謝系への依存度が高まり、治療体制獲得機序が複雑なネットワークを形成していることが示唆される。
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