研究課題
平成26、27年度の研究結果から、様々の刺激(機械的刺激、TRPV4チャネルの活性剤、酸化ストレス誘導物質)によって膀胱上皮細胞のヘミチャネルが活性化されることになり、その結果としてATPの放出、酸化ストレスの悪化、最終的に細胞傷害に至ることが明らかになった。本年度は、ヘミチャネルの阻害剤cyclophosphamide (CYP)誘発出血性膀胱炎マウスに投与することによる膀胱の機能及び病理的な変化について検討を行った。マウスの腹腔内にCYPを注入し膀胱炎モデルを作成し、膀胱の機能及び病理的な変化を検討した。CYPを用いた膀胱炎モデルにおいては、膀胱重量の増加、膀胱粘膜下から外膜にかけての出血・水腫及び炎症細胞の浸潤が認められた。Western Blottingによる解析ではCx43タンパク、炎症メディエーター及びタンパク質のカルボニル化が著しく増加した。機能的には、膀胱炎惹起により、膀胱の容量が低下し、排尿回数が増加した。コネキシンヘミチャネルを含め多チャネルインヒビターであるcarbenoxoloneを膀胱炎惹起の前に腹腔内に投与することで、病理及び機能的な変化は著しく改善した。以上、膀胱上皮細胞のヘミチャネルが様々の刺激によって活性化され、膀胱細胞の機能障害に関わっていることを明らかにした。ヘミチャネルの抑制を有する多チャネル阻害剤は、CYP誘発膀胱炎モデルの膀胱機能障害の改善作用を有することが基礎的に明らかとなり、膀胱機能障害の発現機序にヘミチャネルが関与する可能性が示唆された。
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http://erdb.yamanashi.ac.jp/rdb/A_DispInfo.Scholar/3_76/81EDF77BA86C42ED.html