ラット、ラビットの大腿骨骨髄より注射針で骨髄由来幹細胞を採取し遠心分離した後に、TypeⅠcollagenでコートした培養皿で7日間初代培養した。培養によって接着伸展した骨髄由来幹細胞を温度感受性培養皿で継代培養し、細胞シートを作製した。また、これらの実験動物の皮下脂肪細胞からも同様な細胞採取を行い、脂肪幹細胞由来の細胞シートも作成できることを確認した。培養途中の5日目の時点で、GFP(Green fluorescence protein)発現遺伝子を培養細胞内にトランスフェクションしてマーキングした。 膀胱の漿膜側より-80℃のアイスバーで障害を受けた膀胱へ、骨髄幹培養細胞、もしくは脂肪培養細胞で作成したシートを貼付移植した。また、同様に膀胱内側より、-80℃のアイスバーで内尿道括約筋の障害を受けた腹圧性尿失禁モデルに対しても同様な貼付もしくは巻き付け法で細胞シート移植を行った。 移植後3日目、14日目に膀胱および尿道括約筋を取り出した。Monoclonal anti-GFP 抗体、平滑筋特異抗体を使用して免疫二重染色を行い、レーザー蛍光顕微鏡で移植した細胞の分化、つまり、筋層をはじめとする膀胱および尿道括約筋の再生を確認した。また、14日目においては、Acta2 primerを使用してalpha smooth muscle actinを、Myh11 primerを使用してsmooth muscle myosin heavy chainを、Real time RT-PCR法にて定量測定し、骨髄幹細胞もしくは脂肪細胞の膀胱平滑筋、内尿道括約筋への分化の再生についての評価も定量的に行い、組織学的な再生が確認できた。 また、14日目に覚醒下無拘束状態下での膀胱内圧検査を行うことによって、膀胱としての機能の再生を確認、また、腹圧時尿漏出時圧測定を行うことによって尿道括約筋としての収縮機能が再生されたことを確認した。
|