研究課題/領域番号 |
26462451
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
佐々木 昌一 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50225869)
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研究分担者 |
濱川 隆 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (40595394)
窪田 泰江 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00381830)
小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 前立腺肥大症 / 炎症 / TSP-1 |
研究実績の概要 |
これまでの上皮肥大優位の前立腺肥大症モデル動物ではなく、新規に開発されたヒト前立腺肥大症に病理学的に非常に類似した、間質肥大優位のモデルラットを作成するための手技を確立した。これにより次モデルラットを安定して作成することが可能となった。 このモデルラットを用いて定量RT-PCRを行いTSP-1の発現を検討したところ、モデルラット前立腺肥大症組織において有意にmRNAの発現が増強していた。また、ヒト前立腺組織を用いた検討では、前立腺肥大症組織においてmRNAレベルでTSP-1の発現が亢進していることと、TSP-1の発現が前立腺平滑筋細胞に局在していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は前立腺肥大症モデルラットの作成が安定してできるようになり、実験に用いることができた。TSP-1の発現についてヒト前立腺組織も含め検討することが可能であった。TGF-βの発現については未検討だが、確立された抗体や測定方法が存在するため、早々に検討可能と考えており、研究の達成度はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1) ヒト正常前立腺培養細胞に対するTSP-1の直接的・間接的作用の検討:ヒト前立腺上皮細胞(PrEC)、前立腺 間質細胞(PrSC)、前立腺平滑筋細胞(PrSMC)を用いて以後の実験を行う。①TSP-1の前立腺細胞の増殖能への 直接的な影響を検討するために、対照群、TSP-1投与群に分けTSP-1を投与しWST asseyを行う。②細胞内シグナ ル伝達経路に対する影響を検討するため、対照群、TSP-1投与群に分け、TSP-1を投与する。投与後に細胞を回収 、RNA、タンパク質を抽出し、細胞増殖に関与する細胞内シグナル伝達経路について、定量RT-PCR、ウエスタンブロッティングを行い、その変動と活性について検討する。③前立腺細胞に対するTGF-βを介した間接的な影響を検討するため、対照群、TSP-1投与群、TGF-β投与群、TGF-β+TSP-1投与群に分けて、WST assayを行い、細胞増殖能を測定する。④TGF-βの細胞内シグナル伝達物質であるSmadのリン酸化活性を測定し、細胞増殖に及ぼすその影響を検討する。 2) モデルラットへのTSP-1、抗TSP-1抗体等の投与による前立腺肥大症発症の検討:前立腺肥大症モデルラットへ浸透圧ポンプを用いてTSP-1、抗TSP-1抗体を投与し、前立腺サイズの変動を検討する。同様に、細胞内シグナル伝達経路を阻害する各種の薬剤を用いて、前立腺肥大症発症が阻害されるかを観察する。これらの組織を回収し、組織内のTSP-1、細胞内シグナル伝達経路の変動を定量RT-PCR、ウエスタンブロッティングによって解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体を購入する費用として当てていたが、ディスカウントされていたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の試薬購入費に充当する予定である。
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