研究実績の概要 |
本研究でEDモデルでの海綿体神経・陰茎海綿体における神経栄養因子neurturin発現の変化とそれに影響を及ぼす因子としてオートファジー活性と内分泌環境を分析し、勃起能回復低下のメカニズムを解明する。26年度は代表的なオートファジーマーカーであるLC3A-B I/II、BECN1について陰茎の幹部、根部、骨盤神経節での発現をWesternブロッティングにて確認したが、EDモデル、正常モデル、PDE5阻害薬モデルの各検討時期で有意な差を認めなかった。27年度は糖尿病ラットを用いてEDモデルを作成し、オートファジー活性マーカーからヒト色素上皮由来因子(PEDF, Pigment epithelium-derived factor glycoprotein)まで検索範囲を広げて各変化を確認した。 Masson Trichrome染色を用いて陰茎海綿体の平滑筋とコラーゲン線維の比を確認したところ有意な平滑筋量維持効果も確認できた。NO活性を評価する目的にeNOS、nNOSの発現を陰茎の幹部、根部、骨盤神経節において確認したところWesternブロッティングにてEDモデル、正常モデル、PDE5阻害薬投与モデルにおいてnNOSのみ骨盤神経節での有意な変化を認めた。また、PEDFは陰茎海綿体において糖尿病モデルでは発言が増強し、PDE5阻害薬によって減弱した。以上よりPDE5阻害薬はPEDFによる虚血性血管新生阻害を抑制し、血管新生を促している可能性が考えられた。この結果は今後、海綿体神経障害後のリハビリテーションにおけるPDE%阻害薬の新しい役割を位置づけるものと考えられた。
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