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2015 年度 実施状況報告書

マイコプラズマ・ジェニタリウム尿道炎の抗菌薬治療に関する検討

研究課題

研究課題/領域番号 26462456
研究機関産業医科大学

研究代表者

濱砂 良一  産業医科大学, 医学部, 准教授 (30189609)

研究分担者 松本 哲朗  産業医科大学, 医学部, 名誉教授 (50150420)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードM.genitalium / 培養 / マクロライド耐性 / キノロン耐性 / キノロン耐性決定領域
研究実績の概要

マイコプラズマ・ジェニタリウム(M.genitalium)は男子尿道炎の原因菌である。これまで多くの臨床研究が行われ、その病原性は確立された。しかし、わが国ではM. genitalium感染症そのものの名前に保険適用がなく、原因不明のまま検査治療に難渋する尿道炎症例がみられる。本研究では保存M. genitalium株のMIC測定と耐性遺伝子の検討、尿道炎治療失敗例からM.genitaliumの遺伝子を検出し、耐性遺伝子の検討を行った。我々が保存したM.genitalium28株のうちマクロライド耐性を示したものは2株で、AZMのMICが250μg/mL, 32μg/mLであり、いずれも23S rRNAにおける変異(A2058G, A2859G)を示した。キノロン耐性を示した株は1株でキノロンのMICはLVFXμg/mL, MXFX 16μg/mL,STFX 1μg/mLであり、キノロン耐性決定領域(QRDR)のなかで1gyrAでG259A, ASP87→Asn)、parCではG239T (Ser80→Ile)の変異を示した。臨床研究でキノロン薬で治療失敗の3例では、それぞれ以下のようなQRDRの変異を示した。症例1 parC G239T (Ser80→Ile,症例2gyrA G259A (Asp87→Asn)、症例3 gyrA A260G (Asp87→Gly),parC G239T (Ser80→Ile)。
これらを検討すると、gyrA 259, 260遺伝子(Ser87)とparC239遺伝子(ser80)が最もキノロン耐性に関わると考えられた。現在、数個の臨床検体よりM.genitalium培養に施行しているところである。しかし、M.genitaliumの培養は極めて困難であり、数代の継代後に死滅する株が多く見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

M.genitaliumの臨床検体からの培養を試行しているが、多くの株は継代数代で死滅し、MICを測定するまでに至っていない。しかし、保存株のなかにキノロン耐性株があり、MICと耐性遺伝子との関連を決定つけられたことは、今回の進歩であったと考えられる。

今後の研究の推進方策

我々が保存している臨床検体から分離されたM.genitalium遺伝子約200検体分のマクロライド耐性キノロン耐性の遺伝子変異を検討することにより、わが国における耐性遺伝子の傾向、推移を見ることが予想される。
わが国で得られた臨床検体(尿)には、多くの抗菌薬を投与しても消失しないM.genitaliumを含むものが数検体あり、これらの培養を進めることで新たな耐性機序の解明につながると考えている。

次年度使用額が生じた理由

これまで、保存株における薬剤耐性株の耐性機序を検討しており、これまでに耐性遺伝子の確定作業を行ってきた。また、臨床検体からのM.genitaluimの培養が成功せず、新たな株の薬剤感受性の検討が行われていなかった。

次年度使用額の使用計画

次年度は、臨床検体から取り出した保存するM.genitalium遺伝子 約200症例分を用いて、薬剤耐性遺伝子の解析を行う。さらに、次世代シークエンサーを用いた尿道炎検体の微生物の検出を行う予定である。その中でM.genitalium耐性遺伝子と抗菌薬治療との関連より、M.genitalium性尿道炎の適正治療を検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 特集:性感染症尾すべてー病原体、診断、治療、予防  ウイルス感染症 尖圭コンジローマ2016

    • 著者名/発表者名
      松本正広・濵砂良一
    • 雑誌名

      臨床と微生物

      巻: 42 ページ: 145-150

  • [雑誌論文] 感染症診断の新たなツール V遺伝子検査の応用 4. 性感染症2015

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一
    • 雑誌名

      化学療法の領域

      巻: 31 ページ: 245-253

  • [雑誌論文] 特集:抗菌薬の選択と上手な使い方! 私の処方箋 淋菌性尿道炎2015

    • 著者名/発表者名
      濵砂良一
    • 雑誌名

      臨床泌尿器科

      巻: 69 ページ: 664-669

  • [学会発表] Antimicrobial susceptibility of Neisseria gonorrhoeae strains from male urethritis in Japan: surveillance at 2012-20132015

    • 著者名/発表者名
      Hamasuna R, Yasuda M, Ishikawa K, Uehara S, Hayami H, Takahashi S, Matsumoto T, Yamamoto S, Hanaki H, Kadota J
    • 学会等名
      2015 World STI & HIV Congress and Australasian HIV&AIDS Conference
    • 発表場所
      Brisbane, Australia
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-16
    • 国際学会
  • [学会発表] Review of UAA-AAUS Guidelines-Sexually Transmitted Infections, Gonococcal/Mycoplasma urethritis2015

    • 著者名/発表者名
      R. Hamasuna
    • 学会等名
      Asian UTI and STI Forum 2015
    • 発表場所
      Seoul, Korea
    • 年月日
      2015-05-02
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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