研究課題/領域番号 |
26462458
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岩崎 研太 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座講師 (10508881)
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研究分担者 |
小林 孝彰 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (70314010)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腎移植 / HLA / Accommodation / Signal tranduction |
研究実績の概要 |
DSA産生は慢性型拒絶反応の原因である。一方、我々の施設ではリツキサンや血漿交換を行わなかったABO不適合移植23例中において1例(4.3%)、処置を行ったABO不適合移植68例中4例(5.9%)、ABO適合移植266例中28例 (10.5%)でDSAが産生されていた。つまり、移植前の抗体除去とDSA産生に強い相関関係が無かった。DSA産生は内皮細胞上のHLA抗原の発現と、それを標的とした免疫応答が一因であるため、本研究では内皮細胞におけるAB・HLA抗体接着によるHLA抗原の発現について検討した。IFNg刺激により、HLA-cぁssI/IIの発現は上昇した。HLA class I抗体接着では低濃度では細胞保護シグナルが上昇することを見出していたが、HLA class I抗原の発現が高値の場合いかなる濃度でもそれを確認することはできなかった。一方A/B抗体接着時にはIFNg刺激によるHLA抗原の発現が減少しており、抗体関連型の補体障害が上昇した。現在このメカニズムに関して詳細に検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IFNgannma刺激内皮細胞にanti-HLA class II DR抗体接着させたところ、内皮細胞活性化を引き起こすERKの活性化を引き起こした。また、細胞保護遺伝子の発現は誘導されず、補体制御因子CD55/CD59の発現が抑制された。anti-A/B抗体接着状態では、anti-HLA class II DR抗体接着による細胞障害を軽減していた。その際CD55/59の発現上昇とともに、IFNgannm によるHLA class II DRの発現が抑制されていた。このことは、慢性期に問題となるDSAが産生されにくいこと、また産生されても、A/B抗体存在下ではHLA抗原の発現が抑制されており、拒絶反応が進行しないことが示唆された
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今後の研究の推進方策 |
今後は、このHLA発現抑制の詳細なメカニズムの解明を目指すとともに、Acommodationを引き起こす可能性のある薬剤の探索を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
移植1年後のプロトコールbiopsyサンプルを用いたアレイ解析に際し、詳細な症例検討を行ったところ、一つのグループで検体数を確保できないことが分かった。現在はすべてのグループで検体がそろいつつあり、これらを用いたmRNA/miRNAのアレイ解析をH27年に行うため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
in vitro内皮細胞にて免疫順応遺伝子・miRNAの発現メカニズムを解明する。我々が樹立したA/B糖鎖発現内皮細胞EA.hy926を用いる。miRNAの移入・阻害が免疫順応にどのような影響を与えるかについても検討するため、トランスフェクションの試薬等、消耗品に使用する。
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