研究課題/領域番号 |
26462458
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
岩崎 研太 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (10508881)
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研究分担者 |
小林 孝彰 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70314010)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 免疫順応 / シグナル伝達 / 腎移植 |
研究実績の概要 |
2015年度はanti-A/B抗体接着による新たなシグナル伝達としてmTORを同定した。内皮細胞におけるHLAの発現は、定常状態ではHLA class Iは出ているものの、HLA class II DR/DQ (HLA DR/DQ)は殆ど発現していない。そこで、内皮細胞をIFN-gmammaで刺激し、それら分子を強発現させた。IFN-gammmaで2~3日間刺激し、HLA class I/DR/DQ抗原を内皮細胞上に発現上昇させる実験系にて、anti-A IgM抗体接着をさせその影響について検討した。anti-A抗体接着でHLA class I/DRの発現が低下すること、さらにその際mTORの活性化を抑制することが明らかとなった。anti-A抗体によるHLAの発現制御は翻訳語制御であり、HLA DRの発現に関わるCIITA ( class II transactivator)やHLA DRのmRNAには影響を及ぼさなかった。IFN-gamma刺激下ではanti-HLA抗体による細胞傷害が上昇するが、anti-A抗体接着によりその傷害を軽減していた。mTOR阻害剤であり、免疫抑制剤として使用されているEverolimusを使用し、HLAの発現制御における影響を検討したところ、HLA DRのみに影響を及ぼしていた。HLA class Iに関しては、mTOR阻害剤の影響を受けず、細胞障害を軽減することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、anti-A抗体接着による炎症状態化での影響を見ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
mTOR阻害剤によりHLA DRの発現制御が可能になったことから、移植領域で使用される様々な薬剤について今後は検討する。さらに2016年度はanti-A抗体接着下での遺伝子発現について、マイクロアレイ解析とプロテオミクスを施工する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度において、新しい大学で研究室を立ち上げた。そのため、マイクロアレイやプロテオミクスなど当初予定していた実験予定をいくつか中止し、2016年度に持ち越す必要が出てきた。一方で、in vitro実験においては当初の予定よりその進行は進んでいる。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度は、マイクロアレイ・プロテオミクス解析を行う。特にプロテオミクス解析は新しい大学での準備を行うため、2016年度に余裕をもって実験ができるようにしている。
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