研究課題/領域番号 |
26462460
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
中根 裕信 鳥取大学, 医学部, 准教授 (10304205)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DNA修復欠損マウス / 精子形成不全 / ゲノム不安定性 / 空胞様構造 |
研究実績の概要 |
色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP)は、日光紫外線による高頻度の皮膚癌発生と進行性の精神神経症状、さらに精巣発育不全を臨床的特徴とし、ヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair:NER)に異常をもつ遺伝疾患である。これまで我々は、A群色素性乾皮症遺伝子(Xpa遺伝子)を欠損したXpa遺伝子欠損マウス(Xpaマウス)の解析から、このマウスがXP患者と同様に精子形成不全を示しXPの病態モデルとなることを明らかにした。これまでの解析から、Xpaマウス精巣は、精巣幹細胞が精巣変性状態[ゲノム不安定性]に適応しながら生存し、ゲノムの質は低下(DNA損傷を持ったまま)しても精子形成を継続できる状態にあるという仮説を持っている。本研究は、精子ゲノムの質の低下を生じる精巣病態を解明するために、Xpaマウス精巣変性状態でも精子形成を継続する精細管に着目し、Xpaマウス精巣と空胞様構造をもつ精子の解析を行う。 上記目的を達成するために、本年は以下の実験を行った。Xpaマウス精巣・精子の高次構造の検索を行い、空胞化にいたる病的変化の検索を行った。また、Xpaマウス精巣における空胞化変性の検索をin vivoで行うために、モニターマウスとXpaマウスをはじめ他のDNA修復遺伝子欠損マウスとの交配を行った。現在、各月令のマウスを作成・解析中である。今後、上記の実験をさらに進め仮説の検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・Xpaマウス精巣・精子の高次構造の検索を透過型電子顕微鏡(TEM)で行ったところ、空胞化にいたる病的変化の一部を見いだせたので、例数を増やして検索しているが、典型的な病変の検出は容易ではない。引き続き例数を増やして検索する予定である。上記検索を行うとともに平行してXpaマウス精巣の病的変化の検出を、病的変化のマーカー蛋白質の発現解析等でも検討する予定である。 ・Xpaマウス精巣における空胞化変性のin vivoでの検索は、空胞化変性のモニターマウスを導入し交配し、目的のマウスを生産できつつある。現在、各月令のマウスを作成・解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
・Xpaマウス精巣・精子の高次構造を透過型電子顕微鏡(TEM)等を用いて、各精細管・細胞の空胞化変性を経時的に頻度・分布・変性の程度を観察し、各病変の例数を増やす。また、精子の形態異常(空胞様構造の有無等)とその精子ゲノムにおけるDNA損傷の関係を調べるため、DNA損傷を認識する抗体で検索を行う。 ・in vivoでのXpaマウス精巣における空胞化変性を調べる。3,6,12,24ヶ月令Xpa・空胞化変性モニターマウス精巣で観察し、特に3ヶ月と6-12ヶ月令の比較を行い、病変の状態を経時的に観察する。必要に応じ、Xpaマウス精巣病変ごとの遺伝子発現をDNA microarray, 免疫組織, Realtime-PCR等で確認し、精巣変性の病態を理解する。さらに精巣病変によってはXpaマウス精巣・精子ゲノムの質・ゲノム不安定性の検索を、DNA切断割合等を用いて検索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
空胞化変性のモニターマウスの導入および目的とする交配マウス生産が遅れたことにより、予定していた飼育費および解析の実験等に支出しなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
以下の実験に使用する予定である。1)精子の形態異常とその精子ゲノムにおけるDNA損傷の関係を調べるため、DNA損傷を認識する抗体で検索を行う。2)3,6,12,24ヶ月令Xpa・空胞化変性モニターマウスの作成・飼育する。また、必要に応じ、Xpaマウス精巣病変ごとの遺伝子発現をDNA microarray、免疫組織, Realtime-PCR等を行う。
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