研究課題
マウスのMHC classⅡであるH-2D方の異なるアロ移植モデルとして、C57Bl/6マウス(H-2Db)にH-2Ddの系統のマウスであるDBAマウス由来の線維肉腫細胞であるMeth A腫瘍細胞を腹腔内移植する。この移植Meth A細胞は腫瘍であるため腹腔内で増殖するが、アロであるために拒絶反応がおこり移植後7日を最大として減少に転じ、14日後には拒絶されマウス腹腔内から消滅する。この際に腹腔内浸潤して免疫細胞群を腹腔浸潤細胞(PEC)として抽出する。抗体とPECの関連を51Cr releasing assayを用いて調査した。二次移植モデルとして、一次移植細胞を拒絶したマウスに繰り返しMeth A細胞を腹腔移植したとところ、一次移植より明らかに早期に拒絶された。一次移植におけるPECの細胞障害活性がIgGの大量投与により抑制可能か否を再検証したが、in vitroでの 51Cr releasing assayにおいてマウスIgGを添加したところ細胞障害活性の減弱傾向がみられた。しかし、IgG投与なしでの細胞障害活性が25-30%と低いため、この減弱効果が有意といえるか否か断定しづらい結果となった。このためさらなる検証実験を予定している。二次移植におけるPECの細胞障害活性をin vitroにおいて、IgG抗体を添加でPECの活性が低下する傾向も確認できたが、これも結果が一部不安定となった。その後PECよりマクロファージ分画(Allograft Induced Macrophage;AIM)をセルソーターで抽出して、AIMの障害活性を調査の中心として行うこととした。IgGの投与によるAIMの抑制効果はFc Blockerを添加するとその作用が減弱する傾向も認められた。また、PECの中のAIMをin vivo、in vitroで除去することで、それぞれPECの細胞障害活性を強く減弱させることを確認した。つまり、PECに含まれるeffector細胞の主体はやはりAIMであり、AIMの細胞障害活性は抗体により左右されることから、AIMの拒絶反応における細胞障害活性にIVIGは作用するものと推察している。
3: やや遅れている
IgG抗体投与による細胞障害活性効果の結果がやや安定を欠く結果となったため、想定より実験方法の検証に時間を要したため。
アロ移植時の腹腔浸潤細胞(PEC)として顆粒球、単球マクロファージ、リンパ球などの組成があるが、このうち単球マクロファージつまりAIM(Allograft Induced Macrophage;AIM)にやはり注目し、AIMとIgG抗体の作用の関係を中心に検証する。さらに抗体の種類と部分によりIVIGの作用機序のさらなる解明をすすめる予定である。さらに、一次移植と二次移植での差異についてもさらに検証したい。IVIGの作用機序のより明確な解明とその効率化をはかる工夫を行いたい。
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