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2015 年度 実施状況報告書

ウリナスタチンの糖鎖工学に基づく早産治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 26462470
研究機関弘前大学

研究代表者

柿崎 育子  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80302024)

研究分担者 田中 幹二  弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (20311540)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードウリナスタチン / プロテオグリカン / ヒアルロン酸 / 糖鎖工学 / 早産
研究実績の概要

子宮経管の熟化は、熟化を誘導する刺激によって各種酵素の活性が変動することにより、細胞外マトリックスの構成に変化が起こる現象である。この現象を効率よく抑制する物質は早産治療薬として有望と考えられる。本研究では、既存の早産治療薬ウリナスタチンの効果を高めることを期待して、ウリナスタチンが天然にもつコンドロイチン硫酸をヒアルロン酸に組み換えた分子の効果を調べ、天然のウリナスタチンの効果と比較する。27年度は、前年度に得られた結果を結論づけるために、特に酵素阻害剤としてのウリナスタチンの効果に及ぼす糖鎖構造の影響を調べる実験を追加した。今年度に行った酵素反応後の生成物の分析により、ウリナスタチンの糖鎖構造の違いがヒアルロン酸の加水分解を触媒する酵素の活性の阻害の程度を決定することが結論づけられた。前年度の成果と合わせて論文にまとめ、公表された。また、疑似的な熟化の培養細胞モデルを用いて、細胞外マトリックスを構成する分子の代謝やその調節に関わる各種遺伝子の発現変動と培養上清中に放出された細胞外マトリックス成分等の量的変化を調べた。リアルタイムPCRによる遺伝子発現レベルの分析結果より、糖鎖改変ウリナスタチンも天然のウリナスタチンと同様に、熟化促進を反映する遺伝子の発現を抑制することが示された。しかし、その程度は期待通りではなく、糖鎖改変ウリナスタチンの抑制効果は天然型のものと同程度か弱いものであった。培養上清中に放出された細胞外マトリックス成分と炎症の指標となる分子の定量により、いずれのウリナスタチンも熟化と関連する分子の蓄積を抑制することが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究開始当初の計画では、26年度および27年度で1)子宮由来の培養細胞系を用いた疑似的な熟化モデルにおける糖鎖改変ウリナスタチンの作用に関する検討を予定しており、27年度以降で2)細胞膜との相互作用の解析に関する実験を予定していた。しかし、
2)の計画の準備が先にできたために、26年度の計画に代えて26年度中に2)の計画を行い、27年度に論文にまとめた。結果として、27年度は、1)の計画に集中できたために、当初計画以上に進展した。

今後の研究の推進方策

最終年度の28年度は、26、27年度に得られた結果を総計し、論文にまとめるために、論文作成と平行して論文作成に必要な追加のデータをとるための実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初の計画より研究が進展し、研究の総計を行うために次年度の人件費・謝金の経費に使用するため。

次年度使用額の使用計画

研究の総計を行うため人件費・謝金の経費に使用し、その結果をもとに研究成果発表を行い、論文作成を行う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Enzymatic synthesis of hyaluronan hybrid urinary trypsin inhibitor.2015

    • 著者名/発表者名
      Kakizaki, I., Takahashi, R., Yanagisawa, M, Yoshida, F, and Takagaki, K.
    • 雑誌名

      Carbohydr Res.

      巻: 413 ページ: 129-134

    • DOI

      10.1016/j.carres.2015.05.009

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Characterization of proteoglycan and hyaluronan in water-based delipidated powder of salmon cartilage.2015

    • 著者名/発表者名
      Kakizaki I., Miura, A., Ito, S., Mineta, T., Hong, J.S., and Kato, Y.
    • 雑誌名

      J. Appl. Glycosci.

      巻: 62 (3) ページ: 115-120

    • DOI

      10.5458/jag.jag.JAG-2015_011

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Measurement of intracellular nucleotide sugar levels in hyaluronan-overproducing breast cancer cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Kakizaki, I., Chanmee, T., Ontong, P., and Itano, N.
    • 学会等名
      10th International Conference on Hyaluronan (Hyaluronan 2015)
    • 発表場所
      Florence, Italy
    • 年月日
      2015-06-07 – 2015-06-11
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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