研究課題
平成28年度は、平成26-27年度までに行った子宮体癌手術症例からのヒト卵子確保技術の確立と電界撹拌技術を応用した卵子紡錘体の蛍光免疫染色法を異動先の岩手医科大学で行える様に環境整備に費やす時間が多くなった。本研究期間における研究概要として子宮体癌手術症例からのヒト卵子の確保技術については、性周期を有する子宮体癌手術時摘出卵巣から未成熟卵子を採取し、体外成熟培養を行った成績を明らかにした。併せて共同研究を行っている東北大学産婦人科のある仙台と秋田間250kmの未成熟卵子輸送は体外成熟培養に悪影響を及ぼす懸念があったことから、未成熟卵子輸送方法の検討を加えた。輸送症例では有意に体外成熟培養の成績が低下したが、輸送容器にセルポーターを用いて気相を安定させることで改善した。この結果は平成27年4月開催の第64回日本産科婦人科学会で報告し、現在、英文誌に投稿中である。卵子紡錘体タンパク発現を個体年齢により比較するため免疫染色法を行ったが、現有染色法よりも経済的かつ迅速に行えるように、新技術である電解撹拌法の応用を検討した。マウス卵子を用いて、蛍光免疫染色に電解撹拌法を用いることにより、第一抗体である抗γ-tubulin抗体を従来法の200倍希釈より80倍の16000倍希釈で染色可能であり、かつ、反応時間を1/12の5分間まで短縮できること、を明らかにした。加えて蛍光発色の減衰も抑制できた。この結果は平成27年4月開催のIFFS/JSRMで報告し、Scientific Reports (2015)に掲載された。個体年齢による比較については、異動先での研究システム確立と若年子宮体癌症例数が確保に難航したため、次の検討事項とした。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Scientic Reports
巻: 7 ページ: 6
10.1038/srep41552