研究課題
【背景】Vascular Endothelial Growth Factor A (VEGFA)は卵巣における血管新生に重要な役割を果たすが、その過剰産生は不妊治療の最大の合併症である卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を惹起する。一方、小胞体ストレス応答は、小胞体ストレス(異常な折りたたみ構造のタンパク質が小胞体内に蓄積した状態)に対して細胞で活性化される細胞内情報伝達経路を指し、近年種々の臓器における細胞の恒常性維持ならびに病態に深く関わることが明らかになってきた。【目的】小胞体ストレスが卵巣顆粒膜細胞(GC)においてVEGFA産生調節に働くか、そしてOHSSの病態に関与するか、を明らかにすること。【結果】小胞体ストレス応答因子spliced from of X-box-binding protein 1 [XBP1(S)]の発現は、OHSS患者の顆粒膜細胞において、非OHSS患者に比し亢進していた。培養ヒト顆粒膜細胞において、小胞体ストレス刺激剤によりhuman chorionic gonadotropin (hCG)誘導性のVEGFA mRNA, タンパク質発現は亢進し、この効果はXBP1(S)ノックダウン、あるいは小胞体ストレス抑制剤tauroursodeoxycholic acid (TUDCA)の前処理により減弱した。OHSSモデルラットを用いた検討により、TUDCA全身投与はOHSSの病態形成を抑制し、卵巣におけるVEGFA産生を抑制した。【考察】小胞体ストレスは顆粒膜細胞におけるhCG誘導性VEGFA産生を増強することによりOHSSの病態形成に関与することが示された。
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