研究課題
結婚年齢の高齢化、少子化に伴い、不妊治療の重要性は社会的にも益々増大しているが、補助生殖医療を用いても妊娠率は30%程度に留まっている。この状況にブレークスルーをもたらすには、初期胚発生における初期化の理解が必須である。初期化の理解は、近年、発生工学の進歩と相まって大きく進歩している。我々は、着床前期胚特異的遺伝子Zscan4が、今回マウスZscan4がiPS作製効率を大幅に改善し、Zscan4自体がc-Mycの代わりになるのみならず、核型安定性の維持にも働くことを報告したが、この研究が臨床応用可能なよりhigh-qualityのiPS作製につながると考えている。さらに、その理論的根拠を検証するのが当研究であり、humanのiPS細胞に関する検討も行い、臨床応用に向けて基盤となる研究を行う。我々は、Zscan4ERT2をMC1(ES細胞)に誘導することで、内因性のZscan4陽性の細胞の比率が3倍になり、また、V6.5(ES細胞)に導入しても同様に3倍になった。Zscan4ERT2を導入することで、Zscan4の頻度が上昇していた。さらに、Zscan4を誘導させたときに有意に上昇した遺伝子群のうち、3遺伝子を選択して、iPS細胞の誘導効率上昇の効果を見るために検討を行ったが、いずれもiPS作成効率は上昇しなかった。
3: やや遅れている
当研究に対し、マンパワーの欠如のため、進行度合いが非常に遅くなっている。
Zscan4を用いたiPS細胞作成に関するろんぶんが多施設からも報告されてきており、異なるアプローチが必要。また、Zscan4の発現メカニズムについても報告が出てきており、それらを参考にしながら、アプローチを変えていく必要があると考えている。
研究の進行状況の遅れのため、その分の繰り越しとなった。
他施設からの報告などのため、実験系の変更が必要としており、それに伴って研究費を通常の1年より必要とするため、問題はないと考える。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件)
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