研究実績の概要 |
重症子宮内膜症患者における血清25(OH)D 値は非子宮内膜症患者、軽症子宮内膜症患者に比べて有意に低かった。1,25(OH)2D 値には本症の有無、重症度による違いを認めなかった。 1,25(OH)2D3 はESC におけるIL-8 mRNA 発現を有意に減少させた。1,25(OH)2D3 はIL-8 蛋白産生を有意に抑えた。1,25(OH)2D3 はPGE2 産生を用量依存性に有意に抑制した。また、1,25(OH)2D3 はCOX-2、mPGES-1 およびmPGES-2 のmRNA 発現を有意に減少し、15-PGDH のmRNA 発現を有意に増加した。cPGES のmRNA 発現には1,25(OH)2D3 による影響はなかった。1,25(OH)2D3 は生存細胞数を有意に減少させ、BrdUの再取り込み能を有意に抑制した。アポトーシス陽性細胞の割合には一定の傾向を認めなかった。1,25(OH)2D3はMMP-2 およびMMP-9 のmRNA 発現を有意に抑制した。1,25(OH)2D3 非添加群ではIκBα の蛋白発現が減少するのに対し、1,25(OH)2D3 添加群では減少を有意に増加させた。 本研究において、非子宮内膜症患者、軽症子宮内膜症患者に比べて、重症子宮内膜症患者において血清25(OH)D 値が有意に低いことが示された。ESC を用いたin vitro 実験では、1,25(OH)2D3 は、IL-8 発現、PGE2 産生、MMP mRNA 発現などのIL-1β やTNF-α に誘導された炎症反応を有意に抑制することが示された。さらに1,25(OH)2D3 はESC の生存細胞数を有意に減少させ、DNA へのBrdU 再取り込みを抑制したが、アポトーシスには一定の傾向を認めなかった。また、1,25(OH)2D3 はESC におけるNF-κB 活性も有意に抑制することも示された。
|