研究課題
本研究により、子宮内膜症患者の樹状細胞では、MDC1, MDC2, PDCおよびその成熟度に、コントロール群と比べて有意な差は認めなかった。一方、マンノースレセプター陽性MDC1細胞は有意に多かったことが明らかとなった。次に、本研究により、樹状細胞は逆流子宮内膜中の死細胞を貪食しており、マンノースレセプターをブロックするとそれが抑制されること、さらに樹状細胞が子宮内膜を貪食するとIL6, IL1βの分泌が増えることが明らかとした。以上のことから、子宮内膜症患者の腹腔内樹状細胞はマンノースレセプターを介して逆流子宮内膜細胞を貪食し、樹状細胞からの炎症性サイトカインが増加し、TH17細胞の誘導などを介して、子宮内膜症の増悪に関与している可能性が示唆された。一方、樹状細胞とならぶ貪食細胞であるマクロファージについては、子宮内膜症の患者では、M2-like phenotypeを示すが、それ以外に炎症性サイトカインの発現の上昇、血管新生因子の発現の上昇、HLADRなど抗原提示に必須の因子の発現低下などの特徴的なprofileを持つこと、さらにそれらの特徴が、子宮内膜症病巣細胞との共培養で強化されることを示した。また子宮内膜症病巣細胞とマクロファージの相互関係のメディエーターとして、プロスタグランジンが重要な役割をはたすことを見出している。これらの知見より子宮内膜症の病態に、樹状細胞による子宮内膜の貪食、ならびにマクロファージと子宮内膜症病巣の相互関係をが関与しており、それらの関係を薬剤等で制御することが、本症のあらたな治療戦略となる可能性が示唆された。
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