研究課題/領域番号 |
26462480
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
西島 浩二 福井大学, 医学部, 助教 (80334837)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺サーファクタント / 胎脂 / ミセル / 超低出生体重児 / 壊死性腸炎 / 体内分布評価 |
研究実績の概要 |
羊水中に存在する肺サーファクタントと胎脂の体内動態を評価するために、125Iで標識された肺サーファクタント製剤(サーファクテン:田辺三菱製薬)を用いた動物実験を行った。サーファクテンには、5ないし10%のDipalmitoylphosphatidylethanolamine(DPPE)が含まれている。SIB法を用いて、DPPEを125I(American Radiolabeled Chemicals Inc.)で標識し、サーファクテンを懸濁調整する際に125I-DPPEを混入することにより、125I標識サーファクテンを合成した。次いで、塩酸メデトミジン、ミダゾラム、酒石酸ブトルファノールによる3種混合麻酔下に、125I標識サーファクテンを妊娠ウサギ羊水腔内に投与した(右子宮卵巣端第1位)。24時間後に帝王切開を行い、ウサギ母体と胎仔の125I標識サーファクテン体内分布を検討した。 羊水腔に投与された125I標識サーファクテンは、投与胎仔のほぼ全ての臓器に移行した。また、他の胎仔の各種臓器にも移行した。中でも、とりわけ胃への分布が高くなっていたが、これは、胃の中の胃液(胎仔の場合は濃縮された羊水が大部分を占める)の影響によるものと思われた。125I標識サーファクテンを投与した胎仔と他胎仔の放射線集積率を比べると、胃あるいは胃液への集積は、他胎仔の方が上回っていたが、腸管への集積は、投与胎仔が高値となった。また、ウサギ母体の血液、尿、糞、脾臓、肝臓からも、125I標識サーファクテンが検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した方法とは異なる手法を用いたが、放射性同位元素を用いて肺サーファクタントミセルの体内動態を検討するという研究計画は順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、125I標識サーファクテンを用いて、肺サーファクタントミセルの体内動態を検討していく。次年度は、125I標識サーファクテンを羊水腔内に投与してから帝王切開を行うまでの時間を12時間、24時間、48時間としたタイムコース実験を行う。本研究を継続することにより、羊水中に存在する肺サーファクタントと胎脂の生物学的役割が明らかとなり、ヒトの発生段階における肺-皮膚-消化器間のinteractionの解明がなされることを期待している。
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