羊水中に存在する肺サーファクタントの体内動態を検討するために、SIB法を用いて125I標識放射性肺サーファクタント(STA)を合成し、妊娠ウサギ羊水腔内に投与した。125I標識STAは、投与後30分で母体血中に移行し、大部分は尿から排出された。また、125I標識STAは、投与胎仔とそれ以外の胎仔の全臓器に分布し、特に、胃、胃液、腸管への集積率が高値であった。出生直後の新生児の消化管に高濃度の肺サーファクタントが存在することは、新生児の免疫能獲得の過程を考える上で興味深い。本研究を更に進めることにより、ヒトの発生段階における肺-皮膚-消化器間の相互作用の解明がなされることを期待する。
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