研究課題/領域番号 |
26462481
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
平田 修司 山梨大学, 総合研究部, 教授 (00228785)
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研究分担者 |
正田 朋子 山梨大学, 総合研究部, 助教 (50345716)
多賀谷 光 山梨大学, 総合研究部, 助教 (50418711)
深澤 宏子 山梨大学, 総合研究部, 助教 (60362068)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 雄性単為発生胚 / 雌性単為発生胚 / 除核卵 / 顕微授精 / 単為発生胚由来胚性幹細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は、雌性単為発生胚由来の胚性幹細胞 (pES 細胞) ならびに雄性単為発生胚由来の胚性幹細胞 (aES 細胞) を用いて生殖細胞を再生させるための基礎的検討を行うものである。本研究の遂行のためには、1)pES 細胞の樹立、2)aES 細胞の樹立、3)キメラマウスを用いた pES 細胞ならびに aES 細胞の多分化能の検討、4)in vivo における pES 細胞ならびに aES 細胞nの分化誘導、の4段階で進行させる予定で研究を行ってきた。このうち1)の課題については一昨年度に終了したが、同様に一昨年度中に終了させる予定であった2)の課題が完了し得なかった。 そこで、昨年度は、雄性単為発生胚の初期発生について、諸条件下で詳細に検討した。その結果、除核卵に 2 個の精子を注入して、サイトカラシンを含む培養液中で 6 時間培養した胚の発生が最も良好であることが明らかになった。さらに、この胚から aES 細胞を 13 株樹立し、それらの性染色体を FISH 法にて解析したところ、XX が 7 株、XY が 6 株であり、YY は存在しなかった。これらの成績から、X 染色体上には胚の初期発生に必須の遺伝子が存在していることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の遂行に必要な 4 つのの課題、1)pES 細胞の樹立、2)aES 細胞の樹立、3)キメラマウスを用いた ES 細胞の多分化能の検討、4)in vivo における ES 細胞の分化誘導、のうち一昨年度に2)の課題の進捗に遅延が生じた。そのため昨年度は、2)の課題に集中し、上記の実績の概要欄に示したとおりの成果を得た。すなわち、現段階において研究がやや遅れているのは、研究初年度における研究の遅滞が原因であり、昨年度の研究により、この遅れを一定程度取り戻したところである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、本研究の遂行に必要な 4 つのの課題、1)pES 細胞の樹立、2)aES 細胞の樹立、3)キメラマウスを用いた ES 細胞の多分化能の検討、4)in vivo における ES 細胞の分化誘導、のうち、3)ならびに4)に着手しているが、一昨年度の研究の進捗の遅延により、年度内にすべての課題を達成することは困難であり可能性がある。そこで、本年度は、まず、4)を優先して研究の展開を図っている。一方、昨年度に明らかにした「X 染色体上には胚の初期発生に必須の遺伝子が存在している可能性」については、本研究の本来的な目的ではないものの、aES 細胞の樹立にあたっては是非とも詳細に検討すべき事項であり、また、医学生物学的にも重要な知見が得られる可能性がある。そこで、本年度は、この4)の課題とならんで、「X 染色体上には存在する胚の初期発生に必須の遺伝子」についての研究を追加することとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
一昨年度の課題2)の進捗が停滞したため、昨年度はこの課題2)の遂行に全力を傾注した。その結果、課題3)に使用予定であった研究費について本年度に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、課題3)で昨年度に使用予定であった研究費を、課題3)ならびに4)の遂行に用いる。なお、研究計画欄にも記したとおり、課題4)の遂行を優先すると同時に、新たな派生課題(X 染色体上存在する胚の初期発生に必須の遺伝子の検討)に研究費を充当する。このため、課題3)については当初の予定よりもやや研究規模を縮小する予定である。
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