研究課題/領域番号 |
26462483
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
杉村 基 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30273189)
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研究分担者 |
鳴本 敬一郎 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90647603)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | PAR-2 / sFLT1 / trophoblast cells / preeclampsia |
研究実績の概要 |
胎児発育不全の主な原因として絨毛細胞障害がある。抗リン脂質抗体症候群(APS)合併妊娠では過凝固―高サイトカイン―炎症系ネットワークに直接曝され障害を受けていると考えられる。一方、絨毛間腔を形成する合胞体栄養細胞は血管内皮細胞と類似しプロテアーゼ活性化受容体(PAR)群を発現、細胞周囲微小環境に存在するセリンプロテアーゼにより惹起される細胞内情報伝達系が存在している。PAR群を介しStat、PI3K、PAK-1といった細胞内シグナル伝達系分子は炎症、増殖から細胞遊走過程に関与し創傷治癒過程に関与すると考えられるが、制御機構について知見が乏しい。そこで障害を受けた胎盤絨毛細胞の自律的修復の制御機構における炎症系ネットワーク―受容体-細胞内シグナル伝達系の異常に注目し、機構解明することを目的として研究を行ってきた。現在までにヒト不死化絨毛細胞株TCL-1細胞においてchymotrypsin様セリンプロテアーゼがPAR-2を介して妊娠高血圧症候群発症に関連するsFLT1産生を亢進することを示した。さらにTNFalphaがPAR-2発現を促進することを示したことにより、炎症系ネットワーク―PAR受容体が細胞増殖因子受容体の調節抑制にかかわるsFLT1産生調節にも関与しうることを示した。従来明らかとなっていなかった炎症系ネットワークとPARを介した妊娠高血圧症候群発症の機序の一部を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Chymotrypsin Enhances Soluble Fms-LikeTyrosine Kinase 1 Production Through Protease-Activated Receptor2 in Placenta-Derived Immortalized Human Trophoblast CellsのタイトルでReproductive Sciencesで出版予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記実験系において炎症系ネットワーク―受容体-細胞内シグナル伝達系のうち、受容体―細胞内シグナル伝達系における調節機構に研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の追加実験に使用する計画があるため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに、RT-PCRにて解析するプローブの作成並びに試薬を購入する予定
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