研究実績の概要 |
妊娠ラットに大腸菌由来リポ多糖を腹腔内投与した炎症モデルにおいて、構造的にも機能的にも胎仔肺障害を確認した。母獣への水素投与により酸化ストレス障害および炎症性障害が改善することが確認され、成果を論文報告した。同様に妊娠マウスを用いた炎症モデルにおいて、胎仔脳障害を免疫組織学的に証明した。またこの障害には、胎仔ミクログリア活性化が関与していることが示唆される結果を得た。母獣への水素投与により、胎仔のニューロンのアポトーシスが軽減することおよび炎症性サイトカインIL-6の亢進が抑制されることが明らかとなった。また、in vitro実験において、ミクログリアの活性化が水素添加により抑制されること、ミクログリアのニューロン攻撃作用が抑制されることが明らかとなった。胎仔脳障害に関して、妊娠中期に発症させた場合と妊娠後期に発症させた場合、いずれにおいても水素による抗炎症効果、抗酸化効果が観察され、胎仔の脳障害の軽減が観察された。また、水素による活性化ミクログリアへの抑制効果に関して、網羅的な遺伝子発現の変化を検討した結果、calciumchannel,voltage-dependen, L-type, alpha1C subunit(Cacna1c), gap junction protein,alpha5(Gja5), gap junction protein, alpha 8 (Gja8), fibroblast growth factor1(Fgf1), fibroblast growth factor receptor2(Fgfr2), leptin receptor(Lepr)の発現が有意に抑制されることが明らかとなった。これらを論文報告した。
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