子宮内炎症による胎仔の神経障害発症の動物モデルを形成し、このモデルの母獣に新規抗酸化剤である分子状水素を投与しその効果を検討してきた。母体炎症が、胎児の脳組織における前炎症性サイトカインの産生亢進や酸化ストレス亢進による細胞死を誘導し、神経障害発症に関与していること、またその傷害の中心に脳内の免疫応答細胞ミクログリアの過剰な活性化が関与している可能性が明らかとなった。さらに分子状水素の母体投与は、ミクログリアの過剰な活性化を抑制することにより、炎症、酸化ストレスによる神経障害を軽減する可能性が示唆された。またその効果の一部には母体胎児境界面における炎症を抑制する経路も存在することが示された。
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