今年度の研究実績を下に記す。 目的:不育症患者のaβ2GPI/HLA-DR7複合体(ネオセルフ)抗体と不育症との関係を明らかにすることを目的とした。 対象と方法:2回以上の流産ないし1回以上の死産の既往がある不育症女性108人を対象とした。流死産歴無し、生産歴あり、抗リン脂質抗体(aPL)陰性、自己免疫疾患無しの女性100人をコントロールとした。コントロール女性の血清の99%ile を基準値として、対象でネオセルフ抗体価を測定した。結果:52.6 U/mlが基準値となった。不育症女性108人中、23人(21 %)が、ネオセルフ抗体陽性であった。ネオセルフ抗体陽性であった不育症女性23人中、17人 (74 %) は、他の aPL も陰性であった。陽性23人中、9人 (39 %) が、不育症精査で原因/リスク因子が不明であった。また、原因/リスク因子不明 不育症69人中12人(17 %)でネオセルフ抗体が陽性であることが初めて明らかになった。結論:これまで原因/リスク因子不明とされていた不育症女性の17 %で陽性になったことから、aβ2GPI/HLA-DR7複合体抗体は、新たな不育症の原因である可能性が示された。前向きコホート研究や介入研究の臨床試験によって、因果関係の決定が今後期待される。
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