研究課題/領域番号 |
26462491
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
金崎 春彦 島根大学, 医学部, 講師 (10325053)
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研究分担者 |
折出 亜希 島根大学, 医学部, 助教 (00423278)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | キスペプチン / GnRH |
研究実績の概要 |
視床下部キスペプチンニューロンはHPG axisの最上位に位置し、GnRH分泌を制御しているとされる。しかしながら、GnRH産生ニューロン株GT1-7細胞においてキスペプチンはERK及びcAMP/PKA経路を活性化させるが、GnRH発現を変化させない事が分かった。より生理的な状態を反映するラット胎児脳神経細胞の初代培養を行い、キスペプチンによるGnRH発現について検討した。妊娠16-18日ラットの子宮より胎児を取り出し、胎児全脳を採取して初代培養を行った。この初代培養細胞を用い、エストラジオール、キスペプチン(KP-10)、GnRH刺激によるGnRH及びキスペプチンmRNA発現をリアルタイムPCRにて検討した。まずラット胎児脳神経初代培養細胞にGnRH及びキスペプチンが存在する事を免疫染色で確認した。エストラジオールを初代培養細胞に添加すると、キスペプチンmRNA発現は有意に増加した。GnRH mRNA発現はエストラジオールで変化しなかった。脳神経初代培養細胞をKP-10で刺激するとGnRH mRNA発現は約1.5倍に増加した。GnRH発現はGnRH刺激によって1.8倍に増加した。一方KP-10刺激でキスペプチンmRNA発現は約2.2倍に増加し、GnRH刺激で約1.5倍に増加した。KP10のパルス状投与でGT1-7細胞はGnRH発現を増加させ、脳神経初代培養細胞においてもKP10のパルス状投与で静止刺激に比べて強くGnRH発現を促進した。キスペプチンはGnRH発現を促進するが、キスペプチンをパルス状に投与した方がその効果が強いことが分かった。これらの結果はGnRH発現はキスペプチン及びGnRH自身により制御されていること、またキスペプチン発現はGnRH及びキスペプチン自身で制御されている可能性を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キスペプチンニューロンの制御機構解明のため、当初はマウス腫瘍細胞由来のcell lineを用いていたが、より生理的な細胞を用いるため胎児脳初代培養細胞を用いた。反応は良好であり、今後更に機能解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
GnRH合成に視床下部キスペプチンが直接的に関与することが分かった。 またキスペプチン発現はキスペプチン及びGnRH双方の制御を受けている可能性がある。その他大脳視床下部因子による制御の可能性を検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費に若干余りが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は概ね計画通りに使用する予定である。
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