研究実績の概要 |
平成28年度は、母体血漿中における胎盤特異的microRNA (miR-515-3p, -517a, -517c, および-518b) 流入量と胎児染色体異常(18トリソミー)との関連について解析した。本研究は、倫理委員会の承認と妊婦の同意を得て実施された。18トリソミーのある胎児を妊娠している妊婦13例(18トリソミー群)および正常核型の胎児を妊娠している妊婦24例(コントロール群)を対象とした。それぞれの母体血漿中おける胎盤特異的microRNA (miR-515-3p, -517a, -517c, および-518b) 流入量をリアルタイムRT-PCR法で定量した。コントロール群における胎盤特異的microRNA (miR-515-3p, -517a, -517c, および-518b) 流入量は、18トリソミー群におけるそれと比較していずれも有意に低下していた(P<0.05)。18トリソミーのある胎児を妊娠しているか否かの推定に関して、miR-517c流入量をマーカーとした場合、area under the curve (AUC)は0.733、95% confidence intervalは0.559-0.881であった。miR-517c流入量を用いた陽性/陰性のカットオフ値を3861.3 copies/mLに設定すると、感度は76.9% (10/13)、特異度は77.8% (28/36)、陽性適中率は55.6% (10/18) そして陰性適中率は90.3% (28/31)であった。母体血漿中おける胎盤特異的microRNA流入量は、18トリソミーのある胎児を妊娠している可能性を推定する分子マーカーと考えられた。
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