妊娠高血圧症候群(HDP)妊婦において24時間自由行動下血圧測定(24h ABPM)と夜間血圧測定夜間血圧測定機能付き血圧計による血圧測定(HBPM+N)を行い、妊娠高血圧腎症(PE)における日内変動の異常や産後に妊娠高血圧 (GH) に高血圧の持続が多いことを明らかにした。この結果は女性の将来の高血圧の予防に向けての介入の必要性を示唆した。 PEにおいて活性酸素種であるO2-や一酸化窒素(NO)が反応したperoxynitriteが血管組織中で高いことを明らかとした。PEにみられる血管内皮NOの異常がみられ、その病態形成にO2-とperoxynitriteが関与している。この結果は、2step theoryの後半に引き続いて次の段階の病態が形成されていること(2 stage theory)を示唆した。また、この病態形成にperoxynitriteによりテトラヒドロビオプテリン (BH4) が酸化され、内皮型NO合成酵素(eNOS)uncoupling反応が発生している可能性が示唆された。 NO合成酵素阻害薬投与により作成した胎児発育不全モデルラットを用いて、NO反応の異常やO2-産生の研究を行った。この結果、血圧の上昇、胎盤形成不全が起こると共に血管のNO反応性の異常を認め、PEに類似した病態が形成できた。抗酸化剤やeNOS uncoupling反応抑制のための葉酸やL-アルギニン投与により、病態の改善のための新しい治療の開発を目指している。
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