研究実績の概要 |
「卵子幹細胞」に関するTillyらの報告(White YA, et al. Nat Med, 2012)に対しては、複数の懐疑的な論評や反証が呈示され、議論は現在も続いている。Liuらは他の3研究室と共同で追試をおこなったが、期待された細胞は得られなかったと報告しているため(Zhang H, et al. Nat Med, 2015)、Tillyらは抽出の効率を高めたプロトコルを考案した(unpublished)。我々は同プロトコルを入手し、卵巣の細切処理、DNase IやCollagenaseなどの試薬、反応時間や方法、フィルター処理などを最適化した。これによって、従来法よりも細胞抽出効率を改善することができた。 また、性同一性障害患者から得られた凍結卵巣によって得られた知見を実臨床に応用するため、若年悪性腫瘍患者の卵巣の凍結保存を院内倫理委員会および関連学会に申請し、承認を受けた。あわせてわが国の若年悪性腫瘍患者に対する妊孕性温存体制を整備・拡張するための情報発信を行った(「研究発表」参照)。
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