研究課題/領域番号 |
26462500
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
宮越 敬 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70265883)
|
研究分担者 |
松本 直 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00327595)
秦 健一郎 独立行政法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 部長 (60360335)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 妊娠糖尿病 / 一塩基多型 |
研究実績の概要 |
目的:本年度の目的は日本人妊娠糖尿病(GDM)関連遺伝子候補の抽出である。方法:母体年齢をマッチさせた妊娠糖尿病(GDM)193例と正常耐糖能(NGT)328例を対象とした。なお、臨床情報は診療録を参照した。分娩後に母体末梢血からDNAを抽出し、Sequenom社のMassARRAYシステムを用いて既知の2型糖尿病関連遺伝子(77遺伝子:SNP 142箇所)の遺伝子型を解析した。MassARRAYシステムはマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(Matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry: MALDI-TOFMS)を使用しており、高い特異性と質量数の差に基づき正確なアレルの同定が可能であることを特徴としている。MassARRAYシステムにて得られた遺伝子型をもとにcase/control関連解析およびlogistic回帰分析を行い、GDMと有意な相関を示す遺伝子を抽出した。結果:74遺伝子のSNP 125箇所について遺伝子型を決定できた。GDM群とNGT群とを比較すると、11遺伝子のSNP 12箇所に有意差を認め、オッズ比は1.41-2.15であった. 4遺伝子がインスリン分泌に関与し,7遺伝子がインスリン感受性に関与すると考えられる遺伝子であった.また,5遺伝子はこれまで未報告のGDM関連遺伝子であった。考察:今回我々は、日本人GDM群とNGT群でGDM発症において有意差を認める遺伝子を抽出した。既知のインスリン分泌および感受性関連遺伝子に加え、現在までGDM発症との関連が報告されていない候補遺伝子を同定することができた。以上より、SNP解析が日本人女性におけるGDM発症の病態解明につながる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
臨床情報の詳細解析により、GDM群はその診断時期や重症度により当初の予想以上に不均一な集団であることが判明した。同様にNGT群についてもその臨床像の詳細検討が必要である。そのため、当初予定していた臨床的リスク因子抽出には症例数が不十分であり、次年度以降の検討課題とした。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床情報をもとに、GDM群およびNGT群を層別化し、対象集団の母体背景の均一化を試みる。解析に必要な症例数を再度見積もり、他施設とも連携した症例収集を行う。母体背景をマッチングさせたGDM群およびNGT群において再度SNP解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも解析対象症例が少なくなったこと、海外における学会発表に際しての費用が少なくなったため、繰越し金が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
解析試薬などに充当する予定である。
|