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2014 年度 実施状況報告書

ヒト子宮内膜における転写因子Hand2の機能解析とその臨床的意義

研究課題

研究課題/領域番号 26462505
研究機関関西医科大学

研究代表者

岡田 英孝  関西医科大学, 医学部, 教授 (80330182)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード生殖医学 / 子宮内膜 / 脱落膜化 / 性ステロイドホルモン
研究実績の概要

近年の生殖補助医療における凍結融解胚移植周期治療の経験から、時宜を得た性ステロイドホルモンの補充が着床率の向上に重要であることが示されている。このような背景のもと、子宮内膜機能調節を理解するためには、プロゲステロンに制御される標的遺伝子の解析が重要となる。マイクロアレイ法による網羅的解析により、プロゲステロンで誘導される新規分子としてFibulin-1(FBLN1)という細胞外基質タンパクを見出した。FBLN1のプロモーター領域にあるE-box配列に結合するHand2が、FBLN1遺伝子の転写に必要であることを報告した。この新規転写因子であるHand2が実験動物において着床や脱落膜化に必要であると国外の複数の研究グループから報告されている。ヒト子宮内膜でのHand2の調節機構や役割の解明することを目的とした。ヒト子宮内膜組織を機械的および酵素的に融解して、培養ヒト子宮内膜間質細胞を分離培養し分子生物学的機能解析を行った。これらの細胞におけるHand2 mRNA発現は、プロゲスチンの時間依存的に誘導されており、添加培養1日目には既に有意な増加をみとめた。RU-486(プロゲステロンレセプター拮抗剤)の同時添加によりその効果が消失することも確認した。しかしながらエストロゲン添加では全く変化がみられなかった。これらの細胞にプロゲスチンあるいは子宮内膜を調節する重要な因子であるVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)、SDF-1(stromal cell-derived factor 1)を単独あるいは同時に添加した。培養後の細胞からRNAを抽出・精製し、cDNAを作成してリアルタイムPCR法を用いHand2の発現変化の時間的・空間的に検討した。プロゲスチンによるHand2誘導効果に、これら局所因子の影響を認めなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト子宮内膜でHand2が子宮内膜局所因子によりどのように制御されているかを細胞・分子生物学的に検討し、そこに関連する因子を同定することを目的としている。Hand2はプロゲスチンより特異的に誘導される因子であることを確認しつつあり、計画は順調に進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

転写因子であるHand2は、細胞接着・移動、創傷治癒、血管新生など多くの役割を果たしていると考えられている。ヒト子宮内膜培養細胞の増殖能、分化能能への影響について、Hand2を発現抑制した細胞にて機能解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

実験は順調に進んでおり、次年度はHand2の発現抑制した細胞にて機能解析を行う予定である。そのため、siRNA試薬やELISAキットを購入するために予算を次年度に使用する計画である。

次年度使用額の使用計画

次年度はHand2の発現抑制した細胞にて機能解析を行う予定である。そのため、siRNA試薬やELISAキットを購入するために予算を次年度に使用する計画である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Regulation of decidualization and angiogenesis in the human endometrium: mini review.2014

    • 著者名/発表者名
      Okada H, Tsuzuki T, Shindoh H, Nishigaki A, Yasuda K, Kanzaki H.
    • 雑誌名

      J Obstet Gynaecol Res.

      巻: 40 ページ: 1180-7

    • DOI

      10.1111/jog.12392.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Requirement of heart and neural crest derivatives-expressed transcript 2 during decidualization of human endometrial stromal cells in vitro.2014

    • 著者名/発表者名
      Shindoh H, Okada H, Tsuzuki T, Nishigaki A, Kanzaki H.
    • 雑誌名

      Fertil Steril

      巻: 101 ページ: 1781-90

    • DOI

      10.1016/j.fertnstert.2014.03.013.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effects of ovarian hormone treatment on the gene expression of muscarinic acetylcholine receptors in the ovariectomized rat myometrium.2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuda K, Sumi G, Kanamori C, Nakajima T, Tsuzuki T, Cho H, Nishigaki A, Okada H, Kanzaki H
    • 雑誌名

      J Steroid Biochem Mol Biol.

      巻: 143 ページ: 81-9

    • DOI

      10.1016/j.jsbmb.2014.02.012.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 原発無月経2014

    • 著者名/発表者名
      岡田英孝、神道寿勇、神崎秀陽
    • 雑誌名

      臨床婦人科産科

      巻: 68 ページ: 36-39

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 黄体期・妊娠初期の管理2014

    • 著者名/発表者名
      岡田英孝、神崎秀陽
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 249 ページ: 106-111

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 血管新生因子VEGFの卵胞発育・成熟への関与2014

    • 著者名/発表者名
      神道寿勇、岡田英孝、都築朋子、角玄一郎、安田勝彦、神崎秀陽
    • 学会等名
      第66回日本産科婦人科学会学術集会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      2014-04-18 – 2014-04-20
  • [学会発表] 低酸素および内分泌環境による子宮内膜における血管新生因子の発現制御2014

    • 著者名/発表者名
      都築朋子、岡田英孝、神道寿勇、神崎秀陽
    • 学会等名
      第66回日本産科婦人科学会学術集会
    • 発表場所
      東京国際フォーラム
    • 年月日
      2014-04-18 – 2014-04-20
  • [備考] http://www.kmu.ac.jp/

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公開日: 2016-05-27  

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