研究課題/領域番号 |
26462509
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
豊島 将文 東北大学, 大学病院, 助教 (70451581)
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研究分担者 |
北谷 和之 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (40539235)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 卵巣明細胞腺癌 / 血栓症 / PAI-1 / c-MET / 阻害剤 |
研究実績の概要 |
がん患者の血液は過凝固状態にあり血栓症が多く合併し、中でも卵巣明細胞腺癌では特異的に血栓症合併が多い事が知られているが、その詳細な分子メカニズムは不明である。我々は線溶系の主要な抑制因子であるPAI-1が卵巣明細胞腺癌で高発現する事を見出した。卵巣明細胞腺癌を対象として、最近発見されたMET-PAI-1経路に焦点を当ててがん患者における血栓症発症の分子メカニズムを明らかにする事を目的にした研究を行っている。 現在は、東北大学病院婦人科で病理学的に明細胞腺癌との診断を受けた患者情報を集積し、術前D-dimer測定値、血算・凝固能測定値、血栓症の有無などを詳細に解析している。さらにc-METのリガンドであるHGF(肝細胞増殖因子)とPAI-1に関しては、市販されているELISAキットを用いて血中濃度を測定する予定であり、また卵巣がん症例での組織マイクロアレイ作成も進めている。明細胞腺癌と診断された症例についてPAI-1発現をIHC法にて、c-MET発現をFISH法とIHC法の両者で発現解析を行っている。 in vitroでの実験として、当科で保持する卵巣明細胞腺癌細胞株8種類でc-METの発現量およびHGF刺激後のPAI-1発現量の変化を検討し、さらにin vivoではルシフェラーゼ発光を利用したマウスがん性腹膜炎モデルを用いて、低分子MET阻害剤、PAI-1阻害剤を投与した際のがん細胞増殖および血液凝固能の変化を調べ、治療的効果があるかを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
卵巣明細胞腺癌について症例の蓄積および詳細な臨床情報の集積はなされているが、患者血液からのHGFおよびPAI-1測定が遅れている。またin vivo実験でのPAI-1ノックアウトマウス作成に至っておらず、再現性のあるマウスモデル実験系が構築できていない。
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今後の研究の推進方策 |
ストックされている患者血液からELIZAでのPAI-1およびHGFの測定を進める。また並行してin vitroおよびin vivo実験系の構築を精力的に進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度請求額と合わせ、平成28年度の研究遂行に使用する予定である。
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備考 |
http://www.ob-gy.med.tohoku.ac.jp/laboratory/category01/m-toyoshima.html
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