研究課題/領域番号 |
26462510
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新倉 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80261634)
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研究分担者 |
永瀬 智 山形大学, 医学部, 教授 (00292326)
岡本 聡 東北大学, 大学病院, 臨床検査技師 (40420020)
海法 道子(佐久間道子) 東北大学, 大学病院, 助教 (50531331)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / センチネルリンパ節 / OSNA法 / RT-LAMP法 / CK19 / 微小転移 / ITC |
研究実績の概要 |
1.子宮体癌の原発巣、正常リンパ節における各種マーカーの発現の解析 子宮体癌の原発巣、転移巣で高発現し、転移のないリンパ節では発現の低いマーカー候補として、GEOのデータベースより24個が抽出された。それぞれについてRT-PCRにて転移陽性リンパ節、転移陰性リンパ節のmRNA発現を検討した。転移陽性リンパ節の最大Ct値と陰性リンパ節での最小Ct値の差が大きい上位3個のマーカーはCK7、CK19、EpCAMであり、CK19が最も差の大きなマーカーであった。この3個のマーカーについて200例の子宮体癌組織における発現を免疫染色にて検討したところ、CK19は98%の陽性率を示し、最も高率であったためCK19が最適なマーカーと判断した。 2.OSNA法を用いたCK19mRNAの検出とカットオフ値の設定 RT-LAMP法を利用したmRNA増幅によるOSNA法でリンパ節転移が適切に検出可能かを検証することとした。子宮体癌症例から転移陽性リンパ節15個、転移陰性リンパ節200個を用いて、OSNA法によるCK19mRNAの測定を行い、Reveiver Operating Characteristics 曲線を作成したところ250 copies/μlと125 copies/μlが有用であると考えられた。陽性適中率に関して250 copies/μlの方が優れており、検査として用いる場合の最適なカットオフ値を250 copies/μlに設定した。 3.SLN転移におけるOSNA法によるCK19mRNA検出の性能評価 137個のSLNに対して2mm間隔で切断し、病理学的転移の検索、OSNA法による測定を施行した。133個の診断は一致し、病理診断にて転移陽性、OSNA法で陰性が3例、逆に病理診断にて転移陰性、OSNA法で陽性が1例に認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度の計画としては、子宮体癌の原発巣、正常リンパ節における各種マーカーの発現の解析により、どのマーカーが有効であるのかを明らかにしたいと考えた。このことについては前述のようにGEOのデータベースより抽出された24個のマーカーについてmRNA発現を検討しCK7、CK19、EpCAMを選択でき、さらにCK19を最適なマーカーと決定できた。OSNA法を用いたCK19mRNAの検出とカットオフ値の設定するという課題については250 copies/μlと125 copies/μlが有用であると考え、最終的に陽性適中率に関して優れた250 copies/μlを最適なカットオフ値を設定することができた。実際にSLN転移におけるOSNA法によるCK19mRNA検出の性能評価をするという課題についても137個のSLNに対して2mm間隔で切断し、病理学的転移の検索、OSNA法による測定を施行し、OSNA法は2mm毎の切片作成による病理学的な転移診断と同等の診断精度をもつことを明らかにすることができた。当初の予定であるマーカーのmRNA量と転移サイズとの関連については現在のところ検証できていないが、その他の課題については順調にクリアできており、ほぼ予定通りに進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に進展しているので、まず現状の子宮体癌SLNのサンプリングを続けて、半定量化を実現するためリンパ節の新鮮凍結標本からクライオスタットを用いて0.025mm毎に連続切片を作成し、HE標本により転移の形態(孤在性か播種状かなど)、組織分化度の検討、転移巣の面積の測定、体積の推定を行い、残りの一方はmRNAの測定に供して、OSNA法によるmRNAのコピー数を算出する。両者を比較検討し、子宮体癌での転移巣の定量化を確立する。 さらに、これまでにSLNからさらに色素が流出し、2次リンパ節に到達することを確認しており、少数例ではあるが2次リンパ節をSLNと別に採取しつつある。2次リンパ節についても凍結標本より0.025mm毎に連続切片を作成し、HE標本とpancytokeratin(AE1/AE3)による免疫染色で転移を確認する。前段階の研究でOSNA法による転移の検出の方が優れている場合も考慮し、残りについてはOSNA法によるmRNA検出、半定量に供する。SLNでの結果と比較検討することで、どのようなSLN転移が2次リンパ節に転移を起こしやすいのかを明らかにする。
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