研究課題/領域番号 |
26462517
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
黒川 哲司 福井大学, 医学部, 准教授 (60334835)
|
研究分担者 |
吉田 好雄 福井大学, 医学部, 教授 (60220688)
品川 明子 福井大学, 医学部附属病院, 助教 (90444223)
知野 陽子 福井大学, 医学部附属病院, 特命助教 (40436845)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 卵巣癌 / プラチナ抵抗性 / hCTR1 |
研究実績の概要 |
研究の最終目的は、細胞内プラチナ濃度に着目した新規プラチナ抵抗性卵巣癌治療法の開発である。その中で、本年度は、①培養細胞によるプラチナを細胞内に運び込む膜輸送蛋白hCTR1 (human Copper Transporter) の機能検討と②卵巣癌患者の摘出標本の免疫染色によるhCTR1蛋白発現と臨床データとの相関を検討した。 ①hCTR1の培養細胞による検討では、A2780(シスプラチン感受性細胞株)と2780CP(シスプラチン抵抗性株)を使用した。そして、最初に、両者の細胞株の特徴を再度検討した。倍加時間や形態を観察した。そして、それぞれのIC50(Inhibitory concentration)を検討した。その結果、両者の細胞株でIC50に18倍の大きな差を認めた。そこで、hCTR1の阻害薬を使用したところ、感受性株では有意差を持ってIC50の増悪を認め、抵抗性株では差を認めなかった。つまり、抵抗性株では、すでにhCTR1遺伝子の低下がある可能性が示唆された。(研究期間外であるが2013年12月に開催された)アジア腫瘍学会で口頭発表した。そして、確認実験を行い、現在、論文に執筆中である。 ②免疫染色法を使用したhCTR1蛋白発現と臨床データとの比較検討を行った。研究に対するインフォームドコンセントを得られた患者からの摘出検体のhCTR1蛋白発現は、予後・再発期間に有意差はなく、唯一、組織型により差を認めた。さらに、抗がん剤治療前後の発現にも差はなく、後天的に獲得する抵抗能に関与するものでなく、先天的に獲得しているものの可能性が示唆された。しかし、プラチナを細胞外に排出する膜輸送蛋白 ATP7B (Cu-transporting ATPasa ) には、変化を認めなかった。 ①と②も結果を論文に執筆予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①今年度予定した卵巣癌患者における腹水中の癌細胞のhCTR発現と細胞内のプラチナ濃度を測定する実験が、やや遅れている状況である。原子吸光分光光度計(flameless atomic absorption spectrophotometry:FAAS)の実験系が安定せず、進んでいない。学内の薬剤医師にFAAS分析の専門家を見つけたのでアドバイスをもらい実験を進める予定である。 ②培養実験では、ATP7Bの阻害実験が遅れている。現在、siRNAを使い行う準備を行っている。(物品は購入した。)
|
今後の研究の推進方策 |
培養実験では、①RNAの発現を検討すること。②卵巣明細胞がん細胞株を入手しWesternblottingによる蛋白発現を検討し、臨床データとの相関を見る。 臨床データでは、腹水中の癌細胞の細胞内プラチナ濃度を専門家のアドバイスをもらい進めていく。 H27年度後半から動物実験を開始する。 ここまでのデータを論文にし投稿する。
|