研究課題/領域番号 |
26462521
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉岡 弓子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10402918)
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研究分担者 |
小西 郁生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90192062)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子宮頸癌 |
研究実績の概要 |
平成26年度はまず、①子宮頸癌の化学療法感受性signatureを実際に取ることができるのか、化学療法で腫瘍が縮小した群と、縮小しなかった群で、手術検体のマイクロアレイ解析を行った。また患者血清の遺伝子多型解析を行い、腫瘍縮小効果に差があることも見出した。この研究成果については現在、論文投稿中である。 子宮頸癌では化学療法感受性だけではなく、腫瘍浸潤能も予後に大きくかかわる。そこで、②リンパ節転移を来す症例に特異的に発現するがん関連シグナルを検討したところ、TGF-bシグナル経路が亢進していることと、腫瘍辺縁部のpSMAD3の特殊染色パターンが転移好性のバイオマーカーとして有効であることを見出し、論文発表した(論文1)。さらにTGF-bのサブシグナルであるBMPシグナルが卵巣癌の増殖にかかわり、治療ターゲットになることも論文発表した。この成果は、子宮頸癌の転移抑制療法にも活用できると期待できる(論文2)。 ひと口に子宮頸癌と言っても、組織型だけでなく組織亜型も異なる。組織亜型ごとの悪性性格signatureを明らかにするためにはまず、その病態を明らかにする必要がある。そこで、③子宮頸部扁平上皮癌の一亜型である乳頭状増殖型扁平上皮癌の予後を後方視的に検討し、この亜型が比較的予後良好であり化学療法にも感受性を示すことを明らかにして、論文発表した(論文3)。 子宮頸癌は、若年女性に数多く見られる疾患で妊娠中に遭遇することも稀ではない。妊娠中期に診断された患者が挙児を諦めることなく妊娠期間の延長を図るには化学療法を行うしかないが、本邦ではまだまとまったデータはない。これまでに経験した妊娠中の子宮頸癌患者のうち、化学療法を施行し生児を得た症例をまとめ、その病態・経過について論文報告した(論文4)。妊娠中でも化学療法を行いえるsignatureの解明機序につながることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は臨床データの集積により、さまざまな病態を示す子宮頸癌の亜型を解明した。一方で、細胞株を用いた培養実験にて化学療法感受性や浸潤能を評価する手技を安定させ、マイクロアレイ解析も行った。これにより次年度以降には、本年度に明らかになったそれぞれの亜型を比較解析することで、ジェネティックに病態の違いを解析することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は平成27年度と平成28年度に行う予定であった研究の一部が前倒しで終了した。次年度はまず①の成果を論文報告として発表し、その成果の上で患者検体を用いた前向き試験が行えるよう、研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は臨床データの集積により、さまざまな病態を示す子宮頸癌の亜型を解明した。一方で、細胞株を用いた培養実験にて化学療法感受性や浸潤能を評価する手技を安定させ、マイクロアレイ解析も行った。これにより次年度以降には、本年度に明らかになったそれぞれの亜型を比較解析することで、ジェネティックに病態の違いを解析することが可能となった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は平成27年度と平成28年度に行う予定であった研究の一部が前倒しで終了した。次年度はまず①の成果を論文報告として発表し、その成果の上で患者検体を用いた前向き試験が行えるよう、研究を進める予定である。
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