研究課題
平成27年度は以下の進展があった。①子宮頚部胃型腺癌(GAC)におけるHPV(human papilloma virus)の関与:現在までに集積したGAC46例より腫瘍部DNAを抽出しhigh risk HPVの検出を行ったところ、10例(21%)が陽性であった。現在、陽性例に関して詳細な型別判定を行っている。②GACにおけるマイクロサテライト不安定(MSI):近年、免疫チェックポイント阻害剤が注目されているが、その効果予測のバイオマーカーとしてMSIが候補となっている。難治性癌であるGACが本薬剤の対象となる可能性があり、MSI検討を行った。従来のMSI評価は特定のマイクロサテライトをキャピラリー電気泳動で評価が行われるが、我々は高解像度融解曲線分析(High Resolution Melting=HRM法)でMSIを簡便かつ安価に評価できる系を確立した。そこで10例のGACを解析したところ1例がMSI陽性を示した。さらに症例を重ねていく予定である。③GACにおける遺伝子変異:次世代シークエンサーを用いてIon AmpliSeq™ Comprehensive Cancer Panelに新鮮凍結検体2例から得たゲノムDNAを供した。その結果2例に共通した45遺伝子の異常が見いだされ、COSMIC(catalog of somatic mutations in cancer)に未登録の変異も存在していた。今後サンガーシークエンスにより確認し、全症例で解析を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
昨年度作成したtissue arrayでのタンパク発現解析が不十分であるが、新たにHRM法によるMSIの評価、次世代シークエンスにより遺伝子変異候補が上がってきたので、おおむね順調に進展していると考える。
HRM法によるMSI評価の拡大。遺伝子変異候補を残りの全症例での解析を行う。
マイクロサテライト不安定の評価に対して、当初従来の手法(キャピラリー電気泳動)で行う予定であったが、既に保有しているリアルタイムPCR機を使用し、試薬も安価な高解像度融解曲線分析(HRM法)の系を確立することができたため。
27年度に十分に施行できなかったtissue arrayを用いたタンパク発現解析に対する抗体、染色の費用に充当する予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件)
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