研究課題/領域番号 |
26462526
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岩佐 武 徳島大学, 大学病院, 特任准教授 (00707903)
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研究分担者 |
苛原 稔 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20160070)
松崎 利也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (70294692)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 心理ストレス / 感染ストレス / サイトカイン / 卵巣 / 性腺ホルモン |
研究実績の概要 |
平成26年度に施行した一連の研究により、卵巣摘出による性腺ホルモンの低下が感染ストレスに対する中枢組織の炎症性サイトカインの反応性を高め、発熱反応を増強することを明らかにした。卵巣摘出によるストレス反応の増強は、感染ストレス物質を中枢に限局して投与しても認められたことから、これらの変化は主に中枢組織の機能変化に依存すると考えられる。また、同様の実験モデルを用いて、卵巣摘出が感染ストレスに対するアディポサイトカイン(レプチン、アディポネクチン、レジスチンおよびビスファチン)とその受容体の反応性を変化させることを明らかとした。近年、アディポサイトカインが感染ストレス反応に関わることが明らかにされており、これらの変化がストレス反応の増強の一因を担うものと推察された。以上の結果から、卵巣摘出による性腺ホルモンの低下は、中枢・末梢の複数の因子の反応性を変化させることで、感染ストレスに対する反応性を変化させることが判明した。 上記に加え、心理的ストレスに対する反応性が卵巣機能低下により変化するか検討を行った。その結果、心理的ストレス(拘束ストレス)による体温上昇は卵巣を摘出しても変化しないことが判明した。今後は、摂食量の低下や行動の変化、および中枢・末梢の心理ストレス関連因子の変化について解析をすすめる予定である。これらの結果は、社会ストレスが増強している現代において、ストレス関連疾患の発症を予防するうえで重要な知見になるとものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中枢組織のストレス反応の変化を解析することで、卵巣摘出によるストレス反応の増強のメカニズムに関して新たな知見を得ることができた。また、これまで着目されていなかったアディポサイトカインの反応性についても一連の解析を加えることができた。さらに、心理ストレスに対する反応性の変化についても着手することができたことから、当初の研究計画はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣摘出が心理ストレスに対する反応性に及ぼす影響について検討を加える。特に、現代社会において問題となっている摂食抑制や行動変化などのストレス反応の変化について解析をすすめる。また、それらの変化に関わる中枢・末梢因子について特定することを目的として検討を行う。これまでの研究により、性腺摘出による感染ストレス反応の増強のメカニズムの一部が解明されたが、心理ストレスにおいても同様のメカニズムが作用しているかどうかについて明らかにする。また、卵巣摘出によるストレス反応の増強を軽減する方策についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画に比べ、少量の消耗品の使用で研究成果を得ることができた。また、当該年度に使用する予定であった試薬の一部の生産が遅れており、年度内に発注することができなかった。以上の理由により次年度使用額が生じる結果となった。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度の残金については、主に次年度の消耗品の購入に使用する予定である。具体的には、実験動物、測定キット、実験試薬などの必要物品の購入、および論文投稿の際の英語校正に使用する。
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