研究課題/領域番号 |
26462528
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
松元 隆 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20346670)
|
研究分担者 |
小泉 雅江 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60583028)
那波 明宏 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90242859)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 腫瘍発生学 / 子宮頸癌 / 動物モデル / トランスジェニックマウス |
研究実績の概要 |
子宮がん検診の普及および治療法の確立により進行子宮頸癌の頻度は減少し,死亡率はこの40年間で約1/3 になった。しかし,依然として子宮頸癌は婦人科悪性腫瘍の中でも最も頻度が高い疾患である。子宮頸癌の病因としてHPV(human papilloma virus)の関与は既に明らかとなり,子宮頸癌の約90%にHPV 感染が認められる。しかし,HPV 感染者のほとんどは子宮頸癌を発生することはなく,またHPV16 あるいはその転写産物であるE6/E7 トランスジェニック(Tg)マウスにおいても子宮頸部病変は異形成にとどまり,浸潤癌は発生しない。そこで,HPV 感染と同時に存在する発癌関連遺伝子の異常が近年重要と考えられている。また,悪性腫瘍に限らず各疾患の動物モデルは病態解明のために非常に有用であり,近年,遺伝子操作技術の発達とともにTgマウスやノックアウトマウスなどの遺伝子改変マウスが動物モデルとして汎用されている。しかし,現在のところ子宮頸癌において有用な動物モデルは存在せず,その開発が望まれている。われわれはこれまでに種々の発癌関連遺伝子(transforming growth factor-α;TGF-α,c-src,c-erbB2,insulin-like growth factor-1;IGF-1,E2F1)のTgマウスを作成し,これらのマウスにおいて皮膚癌,胆嚢癌,前立腺癌などが発生することを明らかにしてきた。本研究の目的は,われわれがこれまでに作成してきた各種増殖因子・癌遺伝子(E2F1,c-src,IGF-1,TGF-α)のTgマウスにおける子宮頸部病変を比較解析することにより,HPV の関与以外明らかにされてない子宮頸癌の発生メカニズムを明らかにすることである。 昨年度,src Tgマウス,IGF-1 TgマウスおよびTGF-α Tgマウスにおける子宮頸部上皮内腫瘍,E2F1 Tgマウスにおける子宮頸癌の発生を明らかにできた。現在,同子宮頸部病変の発生メカニズムの解析をすすめているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的達成のために,計画期間を無理のない3年で計画していたため,研究はおおむね順調に 進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は研究期間の2年目にあたるが,各種増殖因子・癌遺伝子(E2F1,c-src,IGF-1,TGF-α)のトランスジェニック(Tg)マウスにおける子宮頸部病変の病理組織学的および分子生物学的相違点を比較解析することにより,これらのモデルマウスにおける子宮頸癌発生メカニズムの解明を目指していく予定である。
|