研究課題
DEC1、DEC2が子宮内膜癌においてその浸潤を抑制する癌抑制遺伝子として働いている。我々はそれらの標的遺伝子の一つがTWIST1であり、SP1との機能的な競合により、TWIST1の転写が制御されていることを見出し、分子生物学分野で著名な国際誌であるMolecular and Cellular Biology誌に2015年12月論文掲載となった。この結果によると、DEC1とDEC2の発現量はmRNAレベル、タンパクレベルの両方において子宮筋層への浸潤が無い/もしくは有っても僅かな早期(IA期)において高く、深い浸潤や転移を認めるIB期以上では低値であった。また、DEC1とDEC2の発現量はmRNAレベル、タンパクレベルの両方において高い正の相関を認めた。このことからDEC1とDEC2の転写が共通の機構により制御されていることが示唆される。DEC1のプロモーターを様々な癌種で解析した研究によると、癌化の過程でDEC1のプロモーター領域のメチル化は明らかな変化を示さないことが報告されている。そこで我々はその他の機構があると考え、マイクロRNAに注目した。TargetScanとmiRandaのアルゴリズムを用いて解析したところ、DEC1とDEC2の3’非転写領域に共通するマイクロRNA、miR-130 familyの結合配列(seed配列)を見出した。miR-130 familyのひとつmiR-301bの発現遺伝子を子宮内膜癌の細胞株に導入すると、予想通りDEC1とDEC2の発現が低下し、細胞の浸潤能が亢進した。レポーター解析にてmiR-130 familyがDEC1とDEC2の3'非翻訳領域に作用することも確認した。今後さらに発現解析・機能解析を進め、DEC1とDEC2を介した癌抑制機構を明らかにしていく予定である。
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Oncogene
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Cancer Science
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