研究課題/領域番号 |
26462534
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
古川 直人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50347556)
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研究分担者 |
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50382289)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 明細胞腺癌 / HNF-1beta / TFPI2 / 腫瘍マーカー |
研究実績の概要 |
明細胞腺癌の卵巣癌全体に占める割合は、欧米での5%に対して、本邦においては23%を占めていて漿液性に続く2 番目に多い発生頻度である。さらに、明細胞腺癌は、抗癌剤抵抗性で転移浸潤能が高く、卵巣癌全体の中でも最も予後が悪い。以上のことより、明細胞腺癌の早期発見のための有用なマーカーの開発が急務である。通常の卵巣癌ではCA125 が上昇するが、明細胞腺癌ではCA125 の上昇はみられない。我々は組織中のHNF-1β 遺伝子発現とその抗がん剤耐性惹起機序を証明してきたが、最近、セリンプロテアーゼインヒビターの一つであるTissue factor pathway inhibitor 2(TFPI2)が、卵巣癌の中で明細胞腺癌のみに多く発現していることが報告された。卵巣癌患者血清の血清HNF とTFPI2 濃度を測定することで、明細胞腺癌に特異的に上昇するかを検証するとともに、早期発見および進行再発との相関について解明を目指している。本年度は、卵巣癌症例69例、内膜症症例58例を抽出し、液体窒素に保管されている血清サンプルを研究に使用した。これらのサンプルで、TFPI2 はUscn Life Science Inc.のELISA キットを用いて測定し、CA125 はPhoenix Pharmaceuticals 社のELISA キットを用いて測定した。明細胞腺癌は内膜症性嚢胞からの癌化が疑われている。TFPI2が内膜症性嚢胞では陰性で、明細胞腺癌では陽性であった場合に癌化の早期発見マーカーとして有用であると考えられる。現在、解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は県内中核病院として、年間約100 例の婦人科悪性疾患および年間約300 例の婦人科良性 疾患を治療しているため、十分な婦人科癌組織や血液サンプルを集積している。その中から卵巣癌症例69例、内膜症症例58例を抽出し、液体窒素に保管されている血清サンプルを用いて研究を行った。これらのサンプルで、TFPI2 はUscn Life Science Inc.のELISA キットを用いて測定し、CA125 はPhoenix Pharmaceuticals 社のELISA キットを用いて測定した。明細胞腺癌は内膜症性嚢胞からの癌化が疑われている。TFPI2が内膜症性嚢胞では陰性で、明細胞腺癌では陽性であった場合に癌化の早期発見マーカーとして有用であると考えられる。現在、測定した卵巣癌組織別および婦人科良性疾患のHNF-1β・TFPI2 値より、卵巣明細胞腺癌の診断におけるこれらマーカーの血中濃度の感度、特異度などを計算して、カットオフ値の設定を試みている。明細胞腺癌症例でもTFPI2の値にばらつきがあり、進行度、年齢、閉経など他に因子に影響されていないか解析を進めている。また内膜症の3症例においてもTFPI2の陽性を認めた。これらの症例は現在、癌化はしていないが、陽性になる背景因子がないか検討している。
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今後の研究の推進方策 |
測定した卵巣癌組織別および婦人科良性疾患のHNF-1β・TFPI2 値より、卵巣明細胞腺癌の診 断におけるこれらマーカーの血中濃度の感度、特異度などを計算して、カットオフ値を設定する。次に、卵巣明細胞腺癌組織について、TFPI2、CA125、HNF-1β の発現の免疫染色を行いそれぞれの局在の違いなどについて比較し、明細胞腺癌の診断において必須となったHNF-1β の発現同様に、TFPI2 も診断に有用かについて検討する。また、HNF-1β、TFPI2 とCA125について、上記で行った血清中のレベルと免疫染色との比較を行う。さらにはTPIFの推移をみて治療効果の判定に有用であるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本園度は卵巣癌症例69例、内膜症症例58例の血清サンプルを用いてTFPI2値を測定している。それぞれの背景因子から腫瘍マーカー、治療効果の判定などに有用であるかカットオフ値の設定を試みている。 卵巣明細胞腺癌組織について、TFPI2、CA125、HNF-1β の発現の免疫染色を行いそれぞれの局在の違いなどについても研究し、試薬を使用ているが、すべての症例の免疫組織染色を行えていないために次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、免疫組織学的検索を卵巣癌症例69例、内膜症症例58例のすべての症例を行う予定である。また、HNF-1β、TFPI2 とCA125について、上記で行った血清中のレベルと免疫染色との比較を行う
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