研究実績の概要 |
研究の目的は、増殖症を伴う類内膜腺癌(Group 1)と伴わない類内膜腺癌(Group 2)において、がんゲノムに生じている変異遺伝子を同定することである。トランスクリプトーム解析は平成26年度にほぼ終了しており、平成27年度は全エクソンシーケンス解析とトランスクリプトーム解析共に目標症例数(Group 1:34例とGroup 2:34例)終了した。平成28年度は、トランスクリプトーム解析及び全エクソンシーケンス解析結果をTCGA(The Cancer Genome Atlas)データへ投射し検証した。またGroup 1,2類内膜腺癌の発がん過程に関わる変異遺伝子を同定した。また、グループ間で差を認めた一部の遺伝子に関して免疫染色でも確認した。 以下に本年度の研究結果を示す。 1. トランスクリプトーム解析結果:Group 1で、ER Pathway およびメチル化ターゲット遺伝子群の活性が高く、Group 2で、DNAダメージ関連遺伝子群の活性が高い。 2. 全エクソンシーケンス解析結果とTCGA分類への投射:Group 2はGroup 1に比べ、有意にSNVとIndel数が多い。TCGA分類への投射の結果、Group 1は低コピー数型、Group 2はPOLE超高頻度変異型, マイクロサテライト不安定化高頻度変異型が多い。 以上より2種類の類内膜腺癌の生物学的差異が分子生物学的に明らかになり、その遺伝子変異の違いから腫瘍形成過程の異なる2種類の類内膜腺癌の存在が明らかになった。上記結果をAACR(米国癌研究治療学会 2016.4)と第75回日本癌学会学術総会(2016.10)にて発表した。
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