研究課題/領域番号 |
26462546
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
沖津 尚弘 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (20375059)
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研究分担者 |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
日高 浩史 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40302103)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 7価結合型肺炎球菌ワクチン / 急性中耳炎 / 血清型 / 薬剤感受性 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
本研究ではまず小児7価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV7)の急性中耳炎に対する本邦での影響を評価すべくPCV7が定期接種となっていた2013年4月から2013年10月までの間に0-3歳の急性中耳炎児の中耳貯留液から分離された肺炎球菌の菌株の収集を行い、その細菌学的特徴の解析を行った。平成26年度は本邦全域から収集した180株に対して肺炎球菌確認試験(オプトヒンテスト、胆汁酸試験)を行い、肺炎球菌であることが確認できなかった4株を除外した176株が肺炎球菌であることを確認した。微量液体希釈法によりこれら176菌株の薬剤感受性の測定を行った。13種の抗菌薬に対する薬剤感受性の測定を行い、その結果についてはすでに解析を完了し、今後学術誌での報告を行う予定となっている。 また、平成26年度には莢膜膨化反応による肺炎球菌の血清型の解析も開始した。176株の肺炎球菌すべての解析を行う予定で、血清型の解析に関しては平成27年度も継続して行っていく予定である。血清型の解析によりPCV7導入後の菌交代現象について世界的傾向(血清型19Aによる菌交代現象)と本邦の傾向の差異の有無についての評価、ならびにPCV7の後継ワクチンとして導入された小児13価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV13)の影響やPCV13後の菌交代現象の予測についての解析を行っていく予定としている。 本研究の2つ目の研究目的となっている質量分析による微生物の細菌学的特徴の解析に関しては、平成26年度に薬剤感受性に基づく菌株のグループ分けを完了しており、平成27年度に質量分析を開始する予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していた研究については薬剤耐性遺伝子の解析を除いては順調に目的を達成しており、平成27年度に予定していた血清型の解析に関しては予定を前倒して解析を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
収集した肺炎球菌の細菌学的特徴の解析に関して、血清型の解析については平成27年度中に解析完了の目途が立っている。そのほかの細菌学的特徴に関しても研究計画に準じて順次解析をすすめる予定である。ただし、血清型の解析で使用する莢膜膨化反応用の血清は国内製造されておらず、輸入せざるを得ないため、昨今の円安による血清購入費用の高沸が今後の研究に影響する懸念がある。また、薬剤耐性遺伝子の解析に関しては遺伝子検出キットで使用する試薬の製造が終了されたため、現在代替試薬についての検討を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究が効率的に進行したことに伴い生じた未使用額の他、当初計画していた薬剤耐性遺伝子の解析について遺伝子検出キットで使用する試薬の製造が終了されたため現在代替試薬についての検討を行っており、薬剤耐性遺伝子の解析が次年度にまたがっての解析となることに伴って生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度にまたがって行うことになった薬剤耐性遺伝子の解析のキット購入や試薬購入に用いる他、平成27年度請求額とあわせて当初計画していた平成27年度の研究(血清型解析ならびに質量分析)実施に必要な試薬などに使用する予定である。
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