研究課題
これまで、前庭小脳領域のプルキンエ細胞において、その興奮性入力が虚血条件下に一過性に著しく増強する現象をとらえてきた。今年度は、そのメカニズムとして、プルキンエ細胞の興奮性シナプス前細胞である顆粒細胞、および前庭小脳に特異的に存在する介在性興奮性ニューロンであるUnipolar brush cell(UBC)に注目した。これまで同様、ラット小脳虫部のスライス切片を作成し、前庭小脳領域のプルキンエ細胞およびUBCにパッチクランプを行い、低酸素低グルコース (Oxygen-Glucose Deprivation; OGD)細胞外液を還流させた。前庭小脳において興奮性介在ニューロンであるUBCの同定には、記録電極内に蛍光色素を混入、蛍光顕微鏡下にて形態的に選択する方法を用いた。さらに生理的特徴によってさらに選別行った。記録されたUBCにおいて、OGD刺激による自発発火の増加が確認された。さらにこの現象が、周囲の顆粒細胞の自発発火を誘導するかを調べた。顆粒細胞からパッチクランプ記録行った。細胞の同定は、ホールセル後のinput resistanceとcapacitanceの値、および、その後カレントクランプ下に電流注入した際の誘発スパイクにより、顆粒細胞と判別した。前庭小脳領域において、いくらかの顆粒細胞でOGD刺激により自発発火が誘発された。このような顆粒細胞の発火は、前庭小脳領域畏怖外の小脳領域では観察されず、前庭小脳に特異的な現象と考えられた。耳鼻咽喉科領域の最も大規模な国際学会である耳鼻咽喉科国際会議では毎年2万人以上の研究者が全世界から集まり専門分野に関して研究結果を議論する。研究成果をより客観的に評価するため、今年度の結果にこれまでの研究結果を加え、国際学会としてパリで開催されるENT world congress 2017に発表した。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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